退職金は何年目から支給対象?退職金制度の概要と相場を徹底解説

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退職金は勤続何年目から支給されるのか。自身が退職する際に退職金がもらえるのか気になっている人も多いでしょう。一般的に退職金というと、定年退職時に長年勤めた功績や役職などに応じて支給されるものというイメージがあるかもしれませんが、企業によっては勤続年数が短くても支給対象としているケースもあるようです。詳しく解説します。

  • 【この記事を読んでわかること】
  • 退職金の支給有無は自社の退職金制度による
  • 勤続1年未満・自己都合退職でも支給対象としている企業がある
  • 退職金制度導入企業の割合や制度の概要
  • 退職理由によっても支給要件が異なる
  • 確実なのは自社の退職金制度を確認すること

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退職金は何年目から支給対象?

転職があたり前になり、新卒から定年までを1社で勤めあげることが減った昨今、退職金は何年目から支給されるのか、自分は対象となるのかという退職金の支給について関心が高まっています。

退職金の支給に関して、一般的に、最低勤続年数が要件として設けられている傾向にあるものの、具体的な支給条件等は、個々人の在籍する企業の退職金制度によって異なるのが現状です。

本記事では厚生労働省が行った就労条件総合調査(平成30年)といった調査内容を元に、退職金が何年目から支給対象とされているのか、実態と傾向を解説します。

勤続3年目以上としている企業が最多

厚生労働省発表の平成30年就労条件総合調査では、下表のとおり多くの企業が退職金の支給にあたって最低勤続年数を要件としていることがわかります。

退職一時金の受給に必要な最低勤続年数階級別企業数割合(調査産業計)   (%)
1年未満1年以上
2年未満
2年以上
3年未満
3年以上
4年未満
4年以上
5年未満
5年以上
会社都合8.521.88.742.21.19.3
自己都合3.215.09.756.21.610.9

参考:h平成30年就労条件総合調査(別添4)|厚生労働省

上表によると、会社都合・自己都合いずれの退職理由においても勤続3年以上4年未満の社員を退職金の支給対象とする企業の割合が最多です。どちらの退職理由であっても勤続3年以上4年未満まで退職に対して、8割を超える企業で退職金を支給している実態がうかがえます。

ただし、退職が1ヶ月ずれるだけでも勤続年数の換算に影響するケースがあるため、退職を検討する際はそのタイミングにも気をつけましょう。

勤続1年未満で退職金を支給している企業もある

同調査でもわかるように、企業によっては勤続1年未満であっても退職金を支給しています。

会社都合を理由とする場合は8.5%、自己都合退職では3.2%と、ごく少数ですが、1年未満という短期間の勤務でも退職金が支給されるケースがあるようです。

退職金制度の内容については法律上の定めもないため、企業の退職金規程にのっとっていれば、勤務1年目で退職金が支給されてもまったく問題はありません。

気になる人は自社の退職金規程を確認しましょう。

退職理由によっても支給要件が異なる

上表では、自己都合退職の人が会社都合を理由とする場合よりも、勤続年数の要件が厳しくなっている傾向も読みとれます。勤続5年以上という箇所を除いたほかのすべての要件で、会社都合による退職の人が企業数の割合が高くなっていることからも伺い知れます。

一方で、自己都合退職の場合は、勤続3年未満だと7割以上の企業が退職金の支給対象としていません。

退職金を勤続何年目から受け取れるのかを調べる場合は、退職理由にも留意する必要があります。

退職金制度を詳しく解説

退職金は何年目から支給対象?退職金制度の概要と相場を徹底解説

本章では退職金制度について詳しく解説します。制度の概要を知ったうえで、ご自身のシミュレーションに役立てましょう。

一般的に退職金制度は以下の4種類に分類されます。

  • 1.退職一時金制度
  • 2.確定給付企業年金制度
  • 3.確定拠出企業年金制度
  • 4.退職金共済制度

それぞれの特長をご紹介します。

1.退職一時金制度

退職一時金制度は、文字通り社員の退職時に一括で退職金を支給する制度です。支給額は退職金規程であらかじめ決められた方法により算出されます。

算定根拠には、給与や勤続年数、役職などさまざまな項目があり、退職金制度を構築する際に、企業が自由に定めることが可能です。

勤続年数が長く、役職が上位になるほど支給額が増えるケースが一般的ですが、最近では、退職金額をある程度抑制するような「退職金テーブル方式」を採用する企業もあります。

これにより、基本給とは別の基準で退職金が決定・支給されるため、年功序列で賃金が上がっていく給与体系の企業では、退職金額がある一定のところで抑えられる仕組みとなっています。

退職する社員にとっては、一定の金額を一括で受け取れるメリットがあるものの、通常の退職金にかかる税金(所得税や住民税)が控除されるので、注意が必要です。

2.退職年金制度

退職年金制度は、以下の2種類から成っています。

・確定給付企業年金制度(DB)

確定給付企業年金制度とは、社員が将来年金として受け取る退職金額があらかじめ確定している制度です。全額一時金として受け取ることも可能ですが、その場合は一括で支払われる退職金と同じ計算が適用され税金が控除されます。

企業は外部の金融機関といった運用会社に対し、毎月掛金を拠出することで退職金を準備します。本制度では、運用の失敗等により準備金が目減りした場合、企業がそのリスクを負い補填しなければなりません。

・確定拠出年金制度(企業型DC)

確定拠出年金制度は、企業が毎月掛金を積み立てるという点で前述の制度と共通しています。異なるのは運用主体で、前述の確定給付企業年金制度は運用会社が主体ですが、確定拠出年金制度は社員自身が資産を運用し、追加で掛金の上乗せも可能です。

そのため、企業側が運用のリスクを追うことはなく、万が一退職金の資産が減少しても企業が補填する義務はありません。この点において、企業側のデメリットが少ないため、企業にとっては導入しやすい制度です。

運用がうまくいけば、退職金が増えるというメリットがあるものの、社員によっては資産が目減りしてしまったり、社員間で退職金額に差が生じたりする可能性があるため注意が必要です。

3.退職金共済制度

退職金共済制度は企業が外部の共済の仕組みを活用して退職金を準備し、外部機関である共済から社員に直接退職金が支払われる制度です。

有名なものでは中小企業退職金共済(中退共)制度があります。退職金共済制度では掛金を全額企業(事業主)が負担しますが、条件によって掛金の一部が国から助成されます。

退職の際に、共済から社員へ直接支払いがなされるため、社員にとっては会社都合か自己都合かの理由にかかわらず、決まった額がもらえるという点がメリットです。

このように、退職金制度によってメリット・デメリットはさまざまです。ご自身の企業に該当するものを正しく理解しましょう。

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資金計画に不安がある場合、プロであるFP(ファイナンシャルプランナー)への相談がおすすめです。
FPは、相談者の現状やライフスタイルにあわせて最適な資金計画、資産運用や節税などの具体的なアドバイスを提供してくれます。

老後資金2,000万円問題に代表されるように、老後の生活費はひとりあたり数千万円が必要と言われています。
漠然とした不安を抱えるのは辛いものです。まずは現状を把握し、どのような対策が必要なのかを相談してみましょう。

多くのFP相談サービスがありますが、迷った場合は大手リクルートが運営する『保険チャンネル』への相談がおすすめです。

保険チャンネル

  • 無料で何度でも相談できる
  • 会員100万人突破
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退職金の相場を解説

退職金は何年目から支給対象?退職金制度の概要と相場を徹底解説

退職金の相場はどのようになっているのでしょうか。退職金は勤続年数や学歴などの条件によってその額が異なっている実態があります。以下で条件別に詳しく見ていきます。

参考:令和3年賃金事情等総合調査|厚生労働省|中央労働委員会

退職金は勤続年数や最終学歴、職務によって異なる

下表は、令和3年度賃金事情等総合調査(厚生労働省中央委員会)による調査結果をもとに退職金額の相場をまとめたものです。

自己都合退職の大卒者退職金相場

最終学歴と退職理由が大学卒・自己都合と共通している場合でも、職務によって退職金額に差が生じます。勤続年数ごとにまとめた表をご覧ください。

勤続年数大学卒、総合職相当大学卒、一般職相当
3年323,000円527,000円
5年594,000円481,000円
10年1,799,000円1,217,000円
15年3,873,000円2,386,000円
20年7,265,000円4,527,000円

参考:令和3年賃金事情等総合調査第13-2表13-4表より作成|厚生労働省|中央労働委員会

両者を比較すると、勤続年数が経過するにつれて退職金額の差が開いてくることがわかります。月収換算の点では目立った差はないため、総合職と一般職のあいだでは、基本的な賃金の部分での差額がそのまま退職金額の差に反映されていることが読みとれます。

自己都合退職の高卒者退職金相場

次表は、学歴と退職理由が高卒・自己都合の場合における職務による退職金の差額をまとめたものです。

勤続年数高校卒、総合職相当高校卒、一般職相当
3年314,000円527,000円
5年522,000円481,000円
10年1,378,000円1,329,000円
15年2,890,000円2,523,000円
20年5,573,000円5,162,000円

参考:令和3年賃金事情等総合調査第13-10表13-12表より作成|厚生労働省|中央労働委員会

こちらも、前表同様に勤続年数の経過にともない職務による金額の差が広がっていますが、大卒者ほどではありません。月収換算という観点では、勤続10年を境に、一般職の月収換算の人が数値が高くなるという特長がありました。

具体的には勤続10年の総合職の月収換算が5.1ヶ月分だったのに対し、一般職は5.7ヶ月分。勤続15年は総合職が9.0ヶ月分に対して一般職の月収換算が9.6ヶ月分と、明らかに一般職の月収換算が高くなっていることがわかります。

勤務先の退職金制度を確認する方法

退職金は何年目から支給対象?退職金制度の概要と相場を徹底解説

退職金制度の概要や相場といった実態を見てきましたが、ご自身の退職金をより正確にシミュレーションするためには、自社の退職金制度の確認が欠かせません。

退職金制度を設けている企業であれば、就業規則に相対的必要記載事項として退職金に関する事項の記載が法律で定められています。そもそも退職金制度の導入有無が不明な場合も、上記の理由のため就業規則を閲覧すれば自社が退職金制度を導入しているかどうか知ることができます。

就業規則そのものは閲覧に許可が必要なものではなく、書面やデータベース上などの形態を問わず社員が常に自由に閲覧できる状態にしておかなければならないと労働基準法で定められているものです。
具体的には「就業規則の周知義務」といい、対象はアルバイトや正社員といった雇用形態を問わずその企業に雇用される全社員です。

ここで言う「周知」とは、就業規則を常時職場の見やすい場所に備えつけることやデジタルデータで保存するなどして、社員が閲覧を希望した際にはいつでも自由に見られる状態にあることを指します。

もし就業規則の閲覧を企業側に申し出て、それを拒否された場合は労働基準法違反になるので、覚えておくとよいでしょう。

まとめ

退職金が何年目からもらえるのかは、企業の退職金制度の有無や規程内容によります。退職金の相場感や実態の理解に加えて、ご自身の企業の退職金制度や内容を調べてご自身の状況に沿った理解を深めましょう。

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執筆者
エイジレスメディア編集部
エイジレス社会の専門誌として、すべての人が何歳でも豊かな暮らしを紡げるよう有益な情報を発信していきます。主に、エイジレスなビジョンを体現している人物や組織へのインタビュー記事を執筆しています。