自営業の老後が厳しいと言われる大きな理由とは?老後に備えておく方法を解説

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会社員と違って自営業者は退職金がなく、国民年金は安いなどの話を聞き、老後の生活に不安を感じている人も多いことでしょう。たしかに自営業者は、早い時期から老後の資金対策をしっかり行うことが大切です。
そこで、どのくらいの貯蓄があれば安心した老後を迎えることができるのか、老後に備えるためどのような手段があるのか解説します。

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老後資金2,000万円問題に代表されるように、老後の生活費はひとりあたり数千万円が必要と言われています。
漠然とした不安を抱えるのは辛いものです。まずは現状を把握し、どのような対策が必要なのかを相談してみましょう。

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  • 【この記事を読んでわかること】
  • 自営業者には厚生年金と退職金がない
  • 月々およそ11万円の赤字が必要であり、まとまった貯蓄が求められる
  • 自営業者が使える老後のための制度がある

自営業の老後と会社員の老後の大きな差は年金と退職金

自営業の老後が厳しいと言われる大きな理由とは?老後に備えておく方法を解説

自営業者には公的年金のうち厚生年金がなく、退職金もありません。まずは自営業者は厚生年金や退職金を受けとれる人と比べてどのくらいの差があるのかを詳しく見ていきましょう。

自営業者には厚生年金がない

本の公的年金は、日本に住んでいる20歳以上60歳未満のすべての人が加入する「国民年金」と、会社員などが加入する「厚生年金」の2階建てになっています。
会社員は1階部分に相当する「国民年金」と、2階部分に相当する「厚生年金」の二つの公的年金を受け取ることができます。会社員と専業主婦の夫婦であれば、2人の合計で月額22万円ほどの公的年金が受け取れます。(収入によって異なります)
ところが自営業者は、1階部分に相当する「国民年金」のみしか受け取ることができません。20歳から60歳までの40年間国民年金保険料を払い続け、満額の国民年金を受給できたとしても、老後に受け取ることのできる年金額は夫婦合計でおよそ13万円程度にとどまります。よって会社員と比べると、月々9万円ほど年金収入が少ないことになります。

自営業者には退職金がない

多くのサラリーマンが受け取るであろう退職金も、自営業者にはありません。厚生労働省(中央労働委員会)「令和3年退職金、年金及び定年制事情調査」によれば、男性定年退職者の退職金支給額を学歴別にみると、大学卒は2,230万円、高校卒は2,017万円です。また中小企業の退職金相場は、東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和2年版)」によれば、卒業後すぐに入社し、同一企業に定年で退職するまで勤務した場合(満勤勤続)の「モデル退職金」は大学卒は1,118万円、高校卒は1,031万円となっており、大企業なら2000万円以上、中小企業でも1000万円以上の退職金がもらえます。そのため会社員は老後資金を確保しやすいのに比べ、退職金がない自営業者は老後の心配が大きくなります。

参考:「令和3年退職金、年金及び定年制事情調査」
「中小企業の賃金・退職金事情(令和2年版)」

老後に必要な貯蓄はどれくらい?

自営業の老後が厳しいと言われる大きな理由とは?老後に備えておく方法を解説

老後を65歳から平均寿命に近い85歳までと考えた場合に、貯蓄はいくら必要なのでしょうか。

(月々に必要な生活費ー月々の年金額)×老後の月数=老後に不足する金額)

上記の計算を行うことで、老後に不足する金額が計算できます。その不足するであろう金額を貯蓄しておけば、計算上は老後に必要な貯蓄額を有していることになります。
今回の計算では、夫婦のみの世帯と仮定して計算を行いましたが、老後の生活と言っても、その人の世帯状況や生活状況により、必要な金額は大きく異なるため、おおまかな目安として捉えてください。

月々の支出は23万円程度とされる

老後は現役時代よりも質素な生活になることが多いでしょうが、実際にどれくらいの支出をしているのでしょうか。(公財)生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」によれば、夫婦2人で老後生活を送る上で必要と考えられている最低日常生活費の平均額は月額で23.2万円です。分布をみると、「20~25万円未満」が 27.5%と最も多く、以下「30~40万円未満」(18.8%)、「25~30万円未満」(14.4%)の順となっています。

参考:「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」

国民年金だけの収入は11万円程度しかカバーできない

厚生労働省年金局「令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、厚生年金の平均年金月額はおよそ14万6000円、国民年金の平均年金月額はおよそ5万6000円でした。夫婦ともに厚生年金がもらえるケースでは、比較的十分な収入があります。一方で夫婦ともに国民年金による収入しかない場合には、月々11万円ほどの収入になっているのが実情です。
そして国民年金の未納期間がなく満額受け取ることができるケースでも、令和4年度(月額)で64,816円となっています。夫婦二人分を合計すると、およそ13万円の収入になる計算です。月々の支出は23万円程度でしたので、国民年金のみの世帯の場合、月々の支出が収入を大きく上回る心配があります。

参考:「令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」
「令和4年4月分からの年金額等について」

自営業は老後3000万円近い貯蓄があると安心

これまで確認したように、月々の生活に必要な支出は23万円程度とされ、国民年金だけの収入では11万円程度しかカバーできないことがわかりました。この二点を踏まえると、以下のように計算でき、月々12万円ほど貯蓄を切り崩す必要があるとわかります。

(月々に必要な生活費ー月々の年金額)=(23万円-11万円)=12万円

そして65歳から85歳までの20年間には、240ヶ月の期間があります。よって (月々に必要な生活費ー月々の年金額)×老後の月数=12万円×240ヶ月=2,880万円です。
国民年金の未納期間がなく満額を受給できる場合でも、月々10万円ほど不足するので、 10万円×240ヶ月=2400万円です。
よって、65歳の時点で2400万円〜2880万円の貯蓄が必要になるという計算になり、3000万円近い貯蓄額を準備することが安心できる一つの目安だと考えられます。

想定外のリスクもある

3,000万円近い貯蓄額が目安とお伝えしましたが、長い老後生活のあいだには、想定外の出費が発生することもあります。代表的なものが、病気や介護による出費です。これまで大きな病気をしたことがない人も、高齢になると予期せぬ病気を患うことも考えられます。パートナーに介護が必要になった場合は、介護費用も捻出しなければならず家計を圧迫しかねません。特に介護施設や老人ホームに入居することになれば、入居費用が必要となることも考えられます。

子どもがいるケースであれば、たとえ子どもが自立していたとしても、突然、何か支援をしなくてはならないときがあるかもしれません。また、いつかは夫婦のうちのどちらかが、亡くなってしまうことを考えると、夫婦ともに国民年金のみの収入であれば、収入が半分に減ってしまいます。このように想定外のリスクも考えると早い段階から、目安以上の金額を目標に貯蓄していくのが安心です。

自営業者ができる老後の備え

自営業の老後が厳しいと言われる大きな理由とは?老後に備えておく方法を解説

サラリーマンには厚生年金保険や退職金があるのに対し、自営業者にはそれらが支給されません。
しかし、自営業者も現役時代から、少しづつ老後のために備えておけば、安心できる老後を迎えることができます。自営業者が老後の年金や退職金を形成しやすくするため、税制優遇措置のある制度がいくつか設けられています。

付加年金

第1号被保険者として国民年金保険料を払っている人を対象に、国民年金の保険料に加えて月額400円の付加保険料を納めることで、老齢基礎年金に上乗せされる年金を付加年金といいます。加入できる期間は20歳〜60歳までの最大40年間とされており、この期間に月額400円の付加保険料を納めておくと、「200円×付加保険料を納付した月数」で計算された付加年金が受けられます。

毎月400円ずつの付加保険料を納付すると年間4800円になりますが、老後に受け取ることができる年金は、年間2400円増えることになります。
仮に40年間付加保険料を納付すれば、納付した総額が192,000円に対し年金額は年間96,000円増える計算です。つまり、わずか2年間で元が取れるということです。
ただし、保険料納付の免除・猶予を受けている人や国民年金基金に加入している人は加入できません。

iDeCo

「iDeCo(イデコ)」の愛称で広く認知されている、個人型確定拠出年金。公的年金は国の制度なので、その掛金額や運用方法は国が決めています。それに対し毎月の掛金額と運用商品は自分で決め、公的年金にプラスして、自分で入り自分で選ぶ年金がiDeCoです。20歳以上60歳未満のすべての人が加入でき、給付は自身で選択した運用結果に基づいて支払われます。掛金とその運用益との合計額は、拠出した金額や運用成績によって、金額は一人ひとり異なります。

iDeCoを活用して老後のための資産運用をするうえでは、掛金、運用益、そして給付を受け取るときに、税制上の優遇措置が講じられている点が大きなメリットです。自営業者の場合、毎月の拠出限度額(国民年金基金または国民年金付加保険料との合算枠)は68,000円です。したがって夫婦二人で20年間、満額活用すれば、3200万円ほどを税制優遇措置を受けながら拠出できる計算になります。

▼iDeCoについて詳しく知りたい方はこちら

国民年金基金

自営業者などの国民年金の第1号被保険者が加入できる年金上乗せ制度です。メリットとして、受取方法に終身年金が選べる、掛金は全額が所得控除の対象となり所得税や住民税が軽減されるなどが挙げられます。
国民年金基金には、「全国国民年金基金」と「職能型国民年金基金」の2種類がありますが、職能型に加入できるのは、歯科診療所、司法書士、弁護士の業務に従事する自営業者のみです。それ以外の自営業者は、全国国民年金基金に加入します。国民年金基金に加入できるのは20歳から60歳到達前月までとされており、60歳以上の加入は、60歳以上65歳未満で国民年金に任意加入している人が対象です。
掛金月額は、選択した給付の型、加入口数、加入時の年齢、性別によって異なり、上限68,000円以内で選択できます。ただし、個人型確定拠出年金(iDeCo)の掛金と合わせて月額68,000円が上限です。また国民年金基金に加入している人は、付加年金に加入できません。

小規模企業共済

小規模企業の経営者や役員の人が、廃業や退職時の生活費のために積み立てる制度として「小規模企業共済制度」があります。小規模企業の経営者のための「退職金制度」で、月々の掛金は1,000~70,000円まで500円単位で自由に設定が可能です。掛金が全額所得控除できる税制メリットに加え、加入後も掛金の増額・減額できる、貸付制度があり事業資金の借入れができるなど自営業者にとって使いやすい制度です。
iDeCoは公的年金に加えて自分年金を作る目的なので、途中で引き出すことができません。この点を心配する場合や、iDeCoの上限を超えて貯蓄したい場合には、小規模企業共済制度の活用を選択肢に入れると良いでしょう。

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漠然とした不安を抱えるのは辛いものです。まずは現状を把握し、どのような対策が必要なのかを相談してみましょう。

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自営業者は定年がないのが利点

自営業の老後が厳しいと言われる大きな理由とは?老後に備えておく方法を解説

ここまで自営業者にとって厳しい内容となってしまいましたが、自営業者にも利点はあります。それは定年がないことと、自分自身で柔軟に仕事量を調整できる点です。
これまで老後とされてきた60代後半や70代でも、就労意欲を持つ人は相当程度いるといわれています。自営業者には定年がない利点を活かし、自身の体力と意欲に応じてできるだけ長く働き続けることができれば、収入の確保につながります。そしてそれ以上に、公的年金の繰り下げ制度を活用することで老後対策が可能です。

年金の繰り下げを活用する

老齢基礎(厚生)年金は、65歳で受け取らずに66歳以降75歳まで(昭和27年4月1日以前生まれの人は、繰下げの上限年齢が70歳まで)のあいだで繰り下げて増額した年金を受け取ることができます。繰り下げた期間によって年金額が増額され、その増額率は一生変わりません。

増額率 =0.7%×繰り下げた月数

国民年金の受給開始年齢は65歳からですが、60ヶ月繰り下げ、70歳から受給開始を選択すると年金額は本来の42%増となります。65歳から月々64,000円の国民年金を受給できる人が70歳から受給開始をすると、増額は月々90,880円です。
夫婦ともに国民年金のみの世帯でも、65歳からは夫のみ年金を受給し、妻は70歳から受給する選択をすれば、70歳以降は夫婦で合わせて15万円以上の年金収入となります。
年金なしでも生活できるうちは年金を繰り下げ、月々もらえる年金額を増やすことも考えておくと良いでしょう。

まとめ

本記事では自営業者の老後生活に関して、国民年金の受給額と老後の生活に必要となる生活費から試算しました。現役時代に十分な収入がある人は、付加年金、iDeCo、国民年金基金、小規模企業共済制度などを活用すると良いでしょう。またできるだけ長く働き続けることができれば、公的年金の繰り下げ制度を活用し、年金額を増額できます。
なお今回の試算では国民年金の収入を夫婦で11万円としましたが、2019年からは年金生活者支援給付金の制度により、年金に月額およそ5,000円が上乗せして支給されます。老後のために公的年金以外に貯蓄する余裕がない場合には年金生活者支援給付金の制度があり、さらに最後のセーフティーネットである生活保護制度があることも忘れないようにしましょう。

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執筆者
エイジレスメディア編集部
エイジレス社会の専門誌として、すべての人が何歳でも豊かな暮らしを紡げるよう有益な情報を発信していきます。主に、エイジレスなビジョンを体現している人物や組織へのインタビュー記事を執筆しています。