Python開発とは?おすすめの開発環境や分野・最新動向を解説
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WebアプリケーションやAI・データ分析の開発をしたいと考えている人には、人気の言語「Python」の習得がおすすめです。 この記事では、Pythonの基礎知識から、おすすめの開発環境・活用分野・最新動向などを詳しく解説していきます。
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- 【この記事を読んでわかること】
- Pythonは、Webアプリケーション開発や、今注目の機械学習・データサイエンスなど幅広い分野で人気の言語
- Pythonの開発環境は、初心者向けのブラウザエディタから、上級者向けのIDEまで充実
- Pythonには豊富なライブラリやフレームワークがそろっており、誰でも効率的な開発が可
Pythonの基礎知識
Pythonを使った開発を始める前に、Pythonがどのようなプログラミング言語なのかを知っておくことが重要です。ここでは、Pythonの特徴からPythonでできること・基本的な文法・デバッグ方法のポイントをわかりやすく解説していきます。まずは、Python開発のベースとなる基礎知識を確認していきましょう。
Pythonとは
Python(パイソン)は、1991年にアメリカ人のグイド・ヴァン・ロッサムによって開発された、汎用性の高いプログラミング言語です。Webアプリケーションなどの一般的な開発に加えて、機械学習やデータ分析などの先端分野でも広く利用され、人気を集めています。Pythonは、AIやデータ活用の浸透にともない、今後ますます活用が広がることが期待される言語の一つです。
そんな人気のPythonには、どのような特徴があるのでしょうか?5つのおもな特徴を紹介します。
- シンプルで読みやすいコード
- インタープリタ言語
- 豊富なライブラリとフレームワーク
- マルチパラダイム言語
- クロスプラットフォーム
シンプルで読みやすいコード
Pythonはシンプルな構文を持ち、初心者でも習得しやすい言語として有名です。また、コードを読みやすくするためのスペースやインデントなどのルールが厳密に決められているため、可読性が高く、コードのメンテナンスやチームでの共同作業が行いやすい特徴があります。
インタープリタ言語
Pythonは、コンパイルせずにソースコードを直接実行できるインタープリタ言語です。コードの変更をリアルタイムで確認できるため、デバッグがしやすく、開発スピードを向上させられます。一方、インタープリタ言語は実行時にコードを解釈するため、実行速度はコンパイル言語に比べて劣る点がデメリットです。
豊富なライブラリとフレームワーク
Pythonには、標準ライブラリ・サードパーティーのライブラリ・フレームワークが豊富です。それにより、Webアプリケーションやデスクトップアプリケーションなどの一般的な開発から、AI・データ分析・ゲームなどの専門的な分野の開発まで幅広く対応できる言語として高い人気を得ています。
マルチパラダイム言語
Pythonは、オブジェクト指向プログラミング・手続き型プログラミング・関数型プログラミングなど、複数のプログラミングパラダイムをサポートしています。そのため開発者は、プロジェクトの目的やメンバーのスキルに応じた開発のアプローチを選択可能です。
クロスプラットフォーム
Pythonは、Windows・macOS・Linuxなど複数のプラットフォームで動作する言語です。そのため開発者は、プラットフォーム間での互換性を考慮する必要がなく、効率的な開発が実現できます。
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Pythonでできること
Pythonは、その汎用性と豊富なライブラリにより、幅広い分野で活用されている言語です。Pythonのおもな5つの用途を見ていきましょう。
- Webアプリケーション開発
- デスクトップアプリケーション開発
- 機械学習・データサイエンス開発
- スクリプト開発
- ゲーム開発
なお、それぞれで紹介するライブラリやフレームワークの特徴や機能は、後述で解説しています。
Webアプリケーション開発
Pythonは、Webアプリケーションのサーバーサイド開発に適した言語の一つです。Pythonには豊富なライブラリが用意されており、データベース操作やユーザー認証などの機能が簡単に実装できます。また、DjangoやFlaskなどの人気フレームワークを使って、効率的にWebアプリケーションの開発が可能です。
デスクトップアプリケーション開発
Pythonでは、PC向けのデスクトップアプリケーションの開発も可能です。PyQtやTkinterなどのクロスプラットフォームに対応したGUIライブラリが提供されており、一度の開発でWindows・macOS・Linuxなどで動作するアプリケーションを構築できます。
機械学習・データサイエンス開発
Pythonは、先進分野であるAIの機械学習やデータサイエンスの開発にも広く使用されている言語です。その理由にNumPy・Pandas・SciPyなどのデータの操作や解析のためのライブラリが提供されている点が挙げられます。また、TensorFlow・Keras・PyTorchなどの機械学習フレームワークも充実しており、効率的なAI開発も可能です。
スクリプト開発
Pythonはシステム管理やタスク自動化などのスクリプト開発にも適した言語です。Pythonのシンプルな文法と豊富なライブラリにより、ファイル操作・メール送信・Webスクレイピング・Excel操作などのさまざまな業務を効率的に自動化できます。
ゲーム開発
Pythonでは、Pygameというライブラリを利用して2Dゲームの開発が可能です。PygameはシンプルなAPIが提供されており、ゲーム開発の初心者でも容易に扱えます。しかし、3Dゲームや高度なグラフィックスを求める場合は、ほかの言語(C++やC#)やゲームエンジン(UnityやUnreal Engine)を検討しましょう。
Pythonの構文と文法
Pythonで開発するには、基本的な構文や文法の習得が欠かせません。ここでは、最低限知っておくべきPython開発の要素を紹介します。
- 変数
- データ型
- 関数
- オブジェクト
変数
変数とは、プログラム内でデータを一時的に格納するための領域です。Pythonでは変数の宣言や型指定が不要で、値を代入するだけで変数が作成されます。変数名はアルファベット・数字・アンダースコア(_)を組み合わせて作成できますが、数字から始めることはできません。また、Pythonでは変数名は小文字で始めることが一般的です。
name = “John”
age = 30
is_student = False
データ型
Pythonのおもなデータ型は以下のとおりです。
データ型 | 説明 | 記述例 | |
---|---|---|---|
整数型 | int | 整数を表現するデータ型 | age = 30 |
浮動小数点型 | float | 小数を表現するデータ型 | pi = 3.14 |
ブール型 | bool | 真(True)か偽(False)の二値を表現するデータ型 | is_student = True |
文字列型 | str | 文字列を表現するデータ型 | name = “Jhon” |
リスト型 | list | 複数の要素を含むデータ型(要素の変更可) | fluits = [“apple”,”banana”,”orange”] |
タプル型 | tuple | 複数の要素を含むデータ型(要素の変更不可) | fluits = (“apple”,”banana”,”orange”) |
辞書型 | dict | キーと値のペアを格納するデータ型 | person = {“name”: “Bob”, “age”: 28} |
関数
関数は、特定の処理を実行するためのコードのまとまりです。Pythonではdefキーワードを使って関数を定義し、returnキーワードを使って戻り値を返します。関数は引数を受け取ることも可能です。
def greet(name):
return f”Hello, {name}!”
message = greet(“Alice”)
print(message) # “Hello, Alice!”
オブジェクト
Pythonはオブジェクト指向プログラミングに対応しています。オブジェクトとは、データ(属性)とそのデータを使って行う操作(メソッド)を持ったものです。開発者は、オブジェクトの設計図であるクラスを定義し、実際に使える状態にする(インスタンス化)ことによりオブジェクトが生成されます。
class Person:
def __init__(self, name, age): # コンストラクタ
self.name = name # 属性
self.age = age
def greet(self): # メソッド
return f”Hello, my name is {self.name} and I’m {self.age} years old.”
# インスタンス化
person1 = Person(“Alice”, 28)
person2 = Person(“Bob”, 32)
# メソッドの呼び出し
print(person1.greet()) # “Hello, my name is Alice and I’m 28 years old.”
print(person2.greet()) # “Hello, my name is Bob and I’m 32 years old.”
このようにオブジェクト指向プログラミングでは、データと操作を一つの単位でまとめることで、再利用性や拡張性の高いコードを実現できます。
Pythonのデバッグ方法
Pythonのプログラミングにおいて、デバッグはコードの品質を確保するための重要なプロセスです。Pythonのデバッグで重要な下記の3点を解説します。
- デバッグツール
- デバッグ関数
- エラーメッセージの読み方
それぞれの内容を見てみましょう。
デバッグツール
Pythonには、さまざまなデバッグツールが存在します。標準で組み込まれているデバッガのpdb(Python Debugger)では、コードの実行を一時停止し、変数の値の確認やステップ実行が可能です。pdbでは、コードに「import pdb; pdb.set_trace()」を挿入するとブレークポイントが設定されます。また、統合開発環境(IDE)や、Visual Studio CodeやPyCharmなどのエディタでは、GUIを使って直感的なブレークポイント設定や変数の観察、ステップ実行が可能です。
デバッグ関数
デバッグ関数は、コードの動作確認や問題の特定に役立つPythonの組み込み関数です。Pythonでは、print()関数を使って変数の値や処理の進行状況を出力できます。また、assert文を使えば、条件が満たされない場合にAssertionErrorを送出し、コードの実行を停止可能です。これを用いて、コードが期待どおりに動作しているかチェックできます。たとえば下記のような場合、「x must be positive」というエラーが表示されます。
x = 0
assert x > 0, “x must be positive”
エラーメッセージの読み方
Pythonのエラーメッセージには、下記のようなエラーの種類・内容・発生箇所を表す情報が表示されます。
情報 | 内容 |
---|---|
エラーの種類 | エラーの種類を表示(SyntaxError、TypeErrorなど) |
エラーの詳細 | エラーの具体的な理由や状況を表示 |
エラーが発生したファイル名 | 問題のあるプログラムファイル名を表示 |
エラーが発生した行番号 | エラーが発生したコードの行番号を表示 |
エラーメッセージを解析する際は、まずエラーの種類を確認し、その後具体的なエラー箇所や内容を確認します。エラーメッセージを適切に読み取る力を身につけると、問題箇所や原因をすばやく特定できるようになり、開発効率を向上できるでしょう。
ここまでは、Pythonの基礎知識について解説してきました。
ここからは、Pythonでおすすめの開発環境を解説します。
Pythonでおすすめの開発環境
Pythonには、開発者のスキルレベルや好みに応じた、さまざまなエディターや統合開発環境(IDE)が提供されています。ここでは初心者向けの使いやすい環境と、上級者向けの高機能な環境を紹介します。
初心者におすすめの環境
Pythonを学習中の初心者には、簡単に使えるブラウザエディタがおすすめです。
ブラウザエディタ
ブラウザエディタは、インターネットブラウザ上で動作するプログラミングエディタです。ローカル環境へのインストールや設定が不要で、インターネットが接続されていれば、すぐにPythonのコードを書いて実行できます。人気のブラウザエディタにGoogle Colab・Paiza.IO・Replitなどがあります。Google Colabは、無料でGPUを利用できるため、機械学習の初学者にもおすすめです。ブラウザエディタを活用すれば、初心者でも手軽にPythonの学習を始められます。スキルが向上し、より高度なプログラミング環境が欲しくなった場合は、次に紹介する上級者向けへ移行すると良いでしょう。
上級者におすすめの環境
Pythonの高いスキルを持つ上級者には、機能が豊富でカスタマイズ性の高い統合開発環境(IDE)やエディタの利用がおすすめです。代表的な4つのツールを紹介します。
- PyCharm
- Spyder
- Visual Studio Code
- Jupyter Notebook
PyCharm
PyCharm(パイチャーム)は、JetBrainsが開発したPython専用の統合開発環境(IDE)です。高度なコード補完・リファクタリング機能・デバッグツールが搭載されており、効率的に開発を進められます。また、Django・FlaskなどのWebフレームワークや、NumPy・Pandasなどのデータ分析ライブラリに対応しているため、多様な分野で利用可能です。無料版のCommunity Editionと有料版のProfessional Editionがあり、プロジェクトの規模やニーズに応じて選択できます。
Spyder
Spyder(スパイダー)は、科学技術計算やデータ解析に特に適している、Pythonに特化したオープンソースのIDEです。変数エクスプローラーやインタラクティブなグラフィックス機能が特徴で、データ解析や機械学習などのタスクを効率的に行えます。数値解析ソフトのMATLABに似たUIを持っているため、科学技術計算のバックグラウンドがある開発者には特に馴染みやすいでしょう。Spyderはオープンソースのため、無料で利用できます。
Visual Studio Code
Visual Studio Code(VSCode)は、Microsoftが開発したオープンソースのテキストエディタです。軽量でありながら多機能で、Pythonの開発者にも人気があります。Python拡張機能をインストールすれば、コード補完・デバッグ・リファクタリングなどの充実した機能を利用できます。また、豊富なプラグインが提供されており、機能をカスタマイズできるため、さまざまなプロジェクトで利用可能です。VSCodeはオープンソースのため、無料で利用できます。
Jupyter Notebook
Jupyter Notebook(ジュピター ノートブック)は、Pythonをはじめとした多くの言語に対応している、Webベースの対話型プログラミング環境です。マークダウン記法やLaTeXを使った数式の記述が可能で、コードの実行結果やグラフも同じドキュメント内に表示されるため、データの解析や可視化に適しています。GitHubやGoogle Colabでノートブックを共有・実行でき、研究や教育現場でのチーム作業も容易です。Jupyter Notebookは、オープンソースのため、無料で利用できます。
ここまでは、Pythonでおすすめの開発環境を解説してきました。
次からは、Python開発の種類を見ていきましょう。
Python開発の種類
ここまで見てきたとおり、Pythonは多様な分野で活用されている言語です。その中から代表的な5つの分野と、そこで活用されるライブラリやフレームワークを紹介します。
- Webアプリケーション開発
- デスクトップアプリケーション開発
- 機械学習・データサイエンス開発
- スクリプト開発
- ゲーム開発
Webアプリケーション開発
Webアプリケーション開発は、Pythonの主要な開発分野の一つです。Pythonでは、多くの優れたWebアプリケーションフレームワークが提供されています。ここでは、人気の高い3つのフレームワークを紹介します。
- Django
- Flask
- Pyramid
Django
Django(ジャンゴ)は、高速で効率的なWebアプリケーション開発を実現するPythonのフレームワークです。Djangoは、「バッテリー同梱」の哲学(必要なものがそろっていてすぐに使えるという意味)に基づいて設計されており、開発に必要な多くの機能が組み込まれています。具体的には、管理画面・認証機能・フォーム処理・RSSフィード生成など、Webアプリケーション開発に必要な機能がデフォルトで提供されています。またDjangoでは、Model-View-Template(MVT)アーキテクチャに基づく構造で、各コンポーネント間の分離が徹底されているのが特徴です。これにより、開発やメンテナンスを効率化でき、大規模なWebアプリケーション開発に適したフレームワークとして、多くの企業やプロジェクトで採用されています。
Flask
Flask(フラスク)は、シンプルで軽量なPythonのWebアプリケーションフレームワークです。開発に必要な機能が詰め込まれたDjangoと異なり、Flaskは最小限の機能のみを提供する「マイクロフレームワーク」で、開発者はプロジェクトに応じて必要な機能を追加して利用します。そのため、Flaskには豊富な拡張ライブラリが提供されており、開発者が求める機能を容易に追加可能です。このようなシンプルさが特徴のFlaskは、初心者にも扱いやすく、小規模から中規模のWebアプリケーション開発に適しています。
Pyramid
Pyramid(ピラミッド)は、スケーラビリティと柔軟性に優れたPythonのWebアプリケーションフレームワークです。URLディスパッチ・トランザクション管理・認証・認可機能など、Webアプリケーション開発に必要な基本的な機能を提供しつつ、機能の追加や削除が容易に行える拡張性にも優れています。これにより、小規模なプロジェクトから大規模なエンタープライズアプリケーションまで、開発者は開発分野や規模に適した機能を選択し、柔軟な開発が実現可能です。
デスクトップアプリケーション開発
Pythonでは、PCのデスクトップ上で動作するデスクトップアプリケーションの開発も可能です。Pythonを使って効率的にデスクトップアプリケーション開発するための、代表的なGUIフレームワーク、ライブラリを2つ紹介します。
- PyQt
- Tkinter
PyQt
PyQt(パイキュート)とは、Pythonでデスクトップアプリケーションを開発するためのGUIフレームワークです。PyQtは、豊富なライブラリとツールで人気のQtフレームワークをPythonで利用できるようにバインディングしたもので、Qtが提供する豊富な機能を利用できます。PyQtはクロスプラットフォームに対応しており、一度の開発で、Windows・macOS・Linuxなどの複数のプラットフォームで動作するアプリケーションを開発可能です。また、豊富なウィジェットやデザインオプションが用意されており、迅速かつ効率的に開発できます。PyQtは、有料の商用ライセンスと無料のGPLライセンスの2種類が提供されており、開発者のニーズに応じて選択可能です。
Tkinter
Tkinter(ティーキンター/ティーケーインター)は、Pythonに標準搭載されている、デスクトップアプリケーション開発のためのライブラリです。Pythonの標準ライブラリに含まれているため、追加のインストールをせずにすぐに使えます。TKinterはクラスプラットフォームに対応しており、Windows・macOS・Linuxなどで動作するアプリケーションを開発可能です。初心者でも扱いやすいウィジェットやダイアログボックスが用意されているため、小規模なデスクトップアプリケーションの開発に適しています。ただし、デザイン面の機能は限定的なので、高度なUIやアニメーションを実現したい場合には、ほかのツールも検討しましょう。
機械学習・データサイエンス開発
Pythonは、成長分野である機械学習やデータサイエンスの開発でも高い人気を誇っています。その理由の一つは、強力なライブラリが豊富にそろっている点です。機械学習やデータサイエンスの開発に欠かせない、下記の3つのライブラリを紹介します。
- NumPy
- Pandas
- SciPy
NumPy
NumPy(Numerical Python:ナンパイ/ナムパイ)は、Pythonで効率的に数値計算するためのライブラリです。多次元配列・行列計算・線形代数・統計関数など、機械学習やデータサイエンスに必要となる基本的な機能を提供しています。NumPyは、C言語で実装されており、計算に最適化したアルゴリズムを採用しているため計算速度が非常に速く、メモリ効率が優れているのが特徴です。また、ほかのデータ解析系のライブラリ(Pandas・SciPy・scikit-learnなど)との連携も容易で、データサイエンスや機械学習分野の開発に欠かせないライブラリとなっています。
Pandas
Pandas(パンダス)は、Pythonでデータ解析を行うためのライブラリです。データの整形・クレンジング・集計など、データサイエンスや機械学習でよく用いられる操作を効率的に実行できるよう設計されています。Pandasは、データフレームという2次元のデータ構造を用いて、テーブルデータを効率的に処理できる点が特徴です。Pandasのデータフレームには、CSV・Excel・SQLデータベースなどの多様なデータソースからデータの読み込みや書き出しができます。こうした特徴を活かして、機械学習やデータサイエンス分野の前処理やデータ解析処理に広く利用されています。
SciPy
SciPy(サイパイ)は、Pythonで科学技術計算を行うためのライブラリです。線形代数・微分積分・信号処理・最適化・画像処理などの多岐にわたる科学技術計算機能を提供しています。SciPyは、NumPyをベースに構築されており、高速で信頼性の高い計算が可能です。機械学習やデータサイエンスの分野では、アルゴリズムの実装やデータ解析の際にSciPyが活用されます。また、Pandasやscikit-learnなど、ほかのデータ解析系ライブラリとの組み合わせによって、さらに強力なデータ解析やモデリングが可能です。
スクリプト開発
Pythonは、短いプログラム(スクリプト)を作成して、一連のタスクや処理を自動化するスクリプト開発にも適しています。ここでは、代表的なスクリプト開発ライブラリの一つ、Clickパッケージを紹介します。
Clickパッケージ
Clickパッケージは、Pythonでコマンドラインツールを簡単に開発するためのライブラリです。コマンドラインツールを作成する際には、引数・オプションのパース・ヘルプメッセージの生成・エラーハンドリングなどの機能が必要になります。Clickでは、デコレータを使った簡潔な構文でコマンドラインオプションや引数を定義可能です。これにより、コードがシンプルで読みやすく保たれます。また、ヘルプメッセージの生成やエラーハンドリングも自動的に行われるため、手間が省けます。Clickの活用により、シェルスクリプトやバッチファイルの代替として、Pythonで高品質なコマンドラインアプリケーションの開発が可能です。
ゲーム開発
Pythonではゲーム開発も可能です。初心者がゲーム開発を体験するのに適した、2Dゲーム開発向けのPygemasライブラリを紹介します。
Pygame
Pygame(パイゲーム)は、Pythonでゲームを開発するためのオープンソースのライブラリです。2Dゲームの開発に特化しており、画像や音声の読み込み・キーボードやマウスなどの入力検出・衝突判定など、ゲーム開発に必要な基本的な機能を提供しています。Pygameは初心者向けのゲーム開発に適しており、手軽さと柔軟性が魅力です。これにより、ゲーム開発初心者でも短期間で独自のゲームを作成できます。また、Pygameはクロスプラットフォーム対応で、Windows・macOS・Linuxなどの複数の環境で動作するゲームを開発可能です。ただし、Pygameは簡単な2Dゲーム開発向けであるため、Pythonで3Dゲームゲームを開発したい場合には、PyOpenGLやPanda3Dなどの専用ライブラリを利用する必要があります。
ここまでは、Python開発の種類を解説してきました。
続いて、Python開発の最新動向を見てみましょう。
Python開発の最新動向
Pythonは1991年に誕生した比較的古くからある言語です。その後、言語仕様や周辺技術の進化によって利用範囲を広げ、現在ではもっとも人気のある言語の一つになっています。Python人気を特に高めているのが、成長分野として注目されている機械学習やデータサイエンス領域での活用です。今後、AIやデータ活用がますます社会に浸透していくのにともない、Pythonの需要もさらに高まっていくことが予想されます。
Pythonの進化
Pythonの進化の過程でマイルストーンとなった出来事を振り返ってみましょう。
- Python 2.xから3.xへの移行
- Djangoの登場
- TensorFlowの登場
- Jupyter Notebookの登場
Python 2.xから3.xへの移行
2008年のPython 2.xから3.xへのバージョンアップにより、Pythonは、よりシンプルで効率的なプログラミング言語へと進化しました。Python 3.xへの移行では、言語をモダン化と簡素化を目的としています。たとえば、文字列の取り扱いがUnicodeに統一され、文字列操作がより簡単になりました。また、print文がprint関数に変更されるなど、文法の整理が行われ、よりシンプルでわかりやすい記述が可能になっています。こうした改善により、より短いコードでの実装を可能とし、可読性や保守性が向上しました。また、新たな機能の追加により、Pythonの多様な用途での活用が可能になっています。このように、Python 3.xへの移行は、Pythonが幅広い分野で活用される言語に成長する原動力になりました。
Djangoの登場
Django(ジャンゴ)は、2005年にリリースされた、PythonでWebアプリケーションを開発するための高機能フレームワークです。Djangoは、Web開発に必要なタスクを簡単に行えるよう設計された高機能なコンポーネントを提供しています。たとえば、データベース操作・ユーザー認証・フォーム処理など一般的な処理を簡単に実装できるため、開発者は独自処理の開発に集中可能です。Djangoの登場により、Pythonを使った迅速かつ効率的なWebアプリケーション開発が可能となり、Web開発分野でのPython人気が高まりました。
TensorFlowの登場
TensorFlowは、2015年にGoogleがオープンソースとして公開した、機械学習(特にディープラーニング)のためのライブラリです。TensorFlowは、ニューラルネットワークや機械学習アルゴリズムを容易に構築できるよう設計されています。分散コンピューティングやGPUを活用した高速計算にも対応しており、大規模なデータセットの効率的な処理も可能です。また、TensorFlowは豊富なドキュメントやチュートリアルが提供されているため、初心者でも手軽に機械学習の開発に取り組めます。このようなTensorFlowの登場は、機械学習分野でPythonが大きく躍進するきっかけとなりました。現在では、Pythonは機械学習分野でのデファクトスタンダードとなっており、Pythonの人気をさらに高める一因となっています。
Jupyter Notebookの登場
Jupyter Notebookは、2014年に登場したWebベースの対話型プログラミング環境です。コードをセル単位で実行し、その結果をリアルタイムで確認できるため、データ解析や機械学習の実験や教育・研究目的での利用に適しています。また、Jupyter Notebookでは、コード・文章・数式・グラフィックスなどを1つの文書に統合して記述・保存・共有でき、開発者は研究成果を再現可能な形で公開したり、ほかの開発者と協力してプロジェクトを進めたりすることが容易な点も特徴です。Jupyter Notebookの登場によって、Pythonユーザーは手軽に実験やデータ解析ができるようになり、Python人気を支える重要なツールの一つとなっています。
まとめ
- Pythonは、Webアプリケーション開発や、今注目の機械学習・データサイエンスなど幅広い分野で人気の言語
- Pythonの開発環境は、初心者向けのブラウザエディタから、上級者向けのIDEまで充実
- Pythonには豊富なライブラリやフレームワークがそろっており、誰でも効率的な開発が可能
Pythonに興味を持った人は、本記事で紹介したおすすめの開発環境やライブラリ・フレームワークを参考に、Python開発を始めてみてはいかがでしょうか。
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