データサイエンティストはやめとけ?なくなる?実態と将来性を解説
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近年、DX(Digital Transformation)というワードがテレビやネットを通して浸透してきています。DX推進を担う職種の1つにデータサイエンティストがありますが、一方でデータサイエンティストは「やめとけ」「なくなる」などの投稿がSNS上に散見されるのも事実です。
本記事では、データサイエンティストの実態と将来性について解説します。
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- 【この記事を読んでわかること】
- 【結論】データサイエンティストはなくならない
- データサイエンティストが「やめとけ」「なくなる」と言われる理由は「高度な専門性と幅広い知識が必要」「AIの発展により将来性がないという見方がある」「業務内容が広く、多忙である」「経営やビジネスへの理解が必要になる」「業務の責任が重い」
- データサイエンティストの業務内容
- データサイエンティストとして働く魅力・メリット
- データサイエンティストの市場価値は非常に高い
- データサイエンティストに向いている人
【結論】データサイエンティストはなくならない
データサイエンティストについて「やめとけ」「なくなる」という声は、現状のデータサイエンティストの業務内容を理解していない方や、向いていなかった方などが考えられます。
たしかに、AI(人工知能)の発達・発展により、ビッグデータの解析にはAIを活用する場面が多くなりました。しかし、あくまでAIはデータを活用するためのツールであり、最終的にどのように活用するかには人間が意思決定することです。
現在の日本では、国策としてデータサイエンティストの育成・確保が急務として挙げられていること、市場でも年収が高いことを鑑みても、なくなる職種ではありません。
市場価値が非常に高い人材ですので、本記事を参考にキャリア形成の1つの選択肢として考えてみてはいかがでしょうか。
データサイエンティストが「やめとけ」「なくなる」と言われる5つの理由
検索サイトのサジェストやSNSなどにおいて、データサイエンティストが「やめとけ」「なくなる」とのネガティブな文言が散見されますが、その代表的な理由として5つ挙げられます。
- 高度な専門性と幅広い知識が必要
- AIの発展により将来性がないという見方がある
- 業務内容が広く、多忙である
- 経営やビジネスへの理解が必要になる
- 業務の責任が重い
これらの理由について解説するまえに、そもそもデータサイエンティストの業務内容がどのような仕事なのか、まずはそちらについて解説します。
データサイエンティストの業務内容とは?
データサイエンティストの業務の流れとしては、大きく4段階のフェーズに分類されます。
- 分析企画、分析プロジェクトの立ち上げ、施策を組み込んだ後の業務設計
- 課題に対するアプローチ設計(施策の設計)、データ処理
- データ分析・解析、BIツール等によるデータの可視化、施策実施後の想定効果
- 施策を実施し業務へ組み込む、施策結果の確認と改善
データサイエンティストは、データ分析の結果をクライアントのビジネスに活用することが業務内容です。
データサイエンティストが関わる身近な業務例
データサイエンティストが関わる業務を身近に感じる例として、コンビニエンスストアを運営している企業の場合を考えてみましょう。
レジのPOSシステムやIoT機器、インターネット上のアクセスログなどのデータを分析の対象とします。
売上向上という課題に対して、来店客数や購入買上点数の向上・サービスの向上・業務効率化につながる施策の立案と実施を行います。その際は店舗内に関するデータのみならず、流行やトレンドを新商品開発に用いて施策を提案するのです。
具体例として、「男性向けに甘すぎないスイーツをコーヒーと同時に購入してもらうため、流行とSNSへの画像投稿による見栄えのある宣伝効果を鑑みて「マリトッツォ」の新商品を開発し、店頭に並べてみる。」という施策を実施します。
そして結果が良かった場合、「メロンパンに生クリームをふんだんに使った商品を次のシーズンに開発する」という改善を実施します。
データサイエンティストが「やめとけ」「なくなる」と言われる理由
データサイエンティストとして先述のような業務を遂行するためには、さまざまなスキルが必要となります。また、業務内容の中にはAIの発展により、人間が直接担う必要がない場面もでてきました。
これらを起因に「やめとけ」「なくなる」と言われる理由として、おもに先の5つが挙げられます。
- 高度な専門性と幅広い知識が必要
ビッグデータ(人間では全体を把握することが困難であるほどの膨大なデータ)を分析して有効に活用するためには、データを扱う専門家として、以下のような高度な専門性と幅広い知識が必要となります。
- データ可視化・数理統計・数理最適化・深層学習・機械学習・画像認識・自然言語処理などのデータサイエンスの知識
- PythonやRなどのプログラミング言語の実装ができる技術力
- 機械学習やAIなどを効率的に適切に利用できる技術力
これらについて深い理解と実務に活かせる能力が必要となり、かつ、日進月歩の新知識を習得し続けていかなければなりません。この環境に向かない場合は「やめとけ」と感じてしまう場合があります。
- 経営やビジネスへの理解が必要になる
データサイエンティストに求められる能力・業務は多岐にわたりますが、膨大なビッグデータをどのように抽出・分析・判断し、自社やクライアントのニーズに対応できるかという点が最重要視されます。データアナリストがこの役目となる場合がありますが、データサイエンティストが兼任している場合もあるのです。
小売業なら顧客ごとの買い物データから新商品の戦略、金融業なら今後の為替や証券の値動きの予測、など業界によって異なりますが、分析したデータをもとにビジネスを成功に導く責務があります。
そのためには、クライアントのビジネスだけではなく、業界全体の経営やビジネスの知識が必須になります。
これらはITエンジニアの「ITの技術」とは別の分野の知識となるため、技術を極めたいという方には向いていない場合が多く、「やめとけ」と感じてしまう一因となります。
- AIの発展により将来性がないという見方がある
近年ではAIの発展が非常に速い状態です。例えば最近では「ChatGPT」がAIの一種として知名度が高いです。
データサイエンティストが、いくらビッグデータから必要なデータを抽出・分類・分析できるとしても、たいていのデータには「傾向」があり、想定される環境を計算に組み込むことである程度AIが自動的に最適解を導いてくれます。そのため、人間がデータ分析を担う必要はなくなり、データサイエンティストの将来性はないため「なくなる」職種と考える方もいます。
たしかに、計算という分野においてAIは人間を遥かに凌駕していますが、そもそもとして
- どのようなデータを収集する必要があるのか
- AIに計算を任せる環境はどのように準備するのか
- 計算量を減らすため、どのようなデータが不要なのか
という、計算基準となるデータの整理は人間が実施する必要があります。
また、分析された結果をBIツールなどにまとめ、クライアントに説明し、経営判断を促すことは人間が担う部分です。
もちろん、それらのデータサイエンティストからの提案から経営判断を実施し、自社に活かすことも人間が担う部分なので、クライアントが自社だとしてもAIに丸任せはできません。
- 業務内容が幅広く抱え込みがち
先にも記載しましたが、データサイエンティストの業務はデータ分析だけではありません。分析したデータをもとにした解析や提案、新規データの選定・収集、それらを実施するためのプロジェクトの立ち上げ、クライアントの課題を洗い出すなど業務内容が幅広いことが多いです。
しかしながら、データアナリストの記事でも解説したとおり、データサイエンティストのようなDX人材は非常に不足しており、国策として人材を育成・確保を急いでいる状態です。
現場において、データサイエンティストのこれらの業務をうまく分担できるチームメンバーが十分に在籍していれば良いですが、実際には少ない人材が多くの業務を抱え込みがちな状況です。
そのため、現場によってはデータ分析担当者が忙殺されるため、「やめとけ」と考えてしまう場合があります。
- 業務の責任が重い
データサイエンティストの仕事のゴールは、クライアントのビジネスを成功に導くことと、今後もデータ整理されやすいデータ分析基盤を構築することがおもに挙げられます。
データ活用に積極的ではなかったクライアントによっては、データサイエンティストに業務を依頼するにあたって、求める期待値が非常に高い場合があります。
データサイエンティストは業務上、データ分析基盤の構築や経営・ビジネスに対する提案が成果物となるため、売上に直結するシステムの納入とは異なるコンサルタントのような役割の場合が多いです。そのため、ビジネスが成功するのか、成果がでるまで時間を要するのかの判断が中長期的になると、期待値が高い割には成果がでなかったと判断されてしまう場合があります。
クライアントにとっては事実上「投資」になるために、責任が重いことがつらいと感じてしまう方にとっては「やめとけ」と考えてしまいます。
これらのように「やめとけ」「なくなる」と判断されてしまう場合がありますが、データサイエンティストだからこその働くメリットややりがいも多くあるのです。
データサイエンティストとして働く4つの魅力・メリット
データサイエンティストとして働くことには多くの魅力やメリットがあります。ここではその中でも特に大きい魅力・メリットについて4つ解説します。
クライアント企業の全体、場合により業界に影響を与えられる
データサイエンティストは経営判断を促すことが業務になるため、その結果、クライアント企業の運営方針に影響を与えることになります。
想定より結果が良かった場合、導入事例として紹介されることもあります。その際にデータサイエンティストとして請け負った社名、場合によっては担当者として公開記事の執筆やイベント講演につながることもあるでしょう。
コンサルタント業務に近いデータサイエンティストの場合はこれらが宣伝効果となり、仕事の依頼が増え、所属企業はもちろん、社会的貢献度も高まっていくことになります。
フリーランスエンジニアだった場合は、実績として今後の報酬にもつながりやすくなる面もあります。
ビジネスの上流工程に携われることがある
データサイエンティストがデータアナリストのように、クライアントに対してデータ分析の結果から経営判断を促すコンサルタント業務を行う場合は、ビジネスの上流工程に携わるということです。
「どのようなITシステムが必要か?」というITシステムの上流工程の要件定義とは異なり、企業そのものが抱える課題に対応することになります。状況によっては課題解決のために新しいITシステムを導入する必要があるという、新規ITシステム構築の起因になります。
もちろんビジネスとしての課題のため解決が難しいです。しかし、提案が採択・実施されて結果につながった場合は大きなやりがいとなります。
先端技術を活用できる場面がある
データサイエンティストの業務には、ビッグデータの扱い・AI・機械学習など、新しい技術が非常に速く生まれる環境にあります。
例えば、AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)のように、今ではクラウド上にデータを保管・管理することがデータを扱う1つの手段として当たり前の環境になりましたが、データ分析についても他の技術同様に歴史があります。
2010年代までは、データを扱うのはRDB(リレーショナル・データベース)が主要でしたがデータ量の増加にともない、IT企業の現場ではHadoopという技術を扱うようになっていきました。
そのHadoopが苦手とした処理速度などの問題を解決するためにApache Sparkが登場、現在ではクラウド上でAmazon Redshiftのようなデータウェアハウスの登場や、データレイクの考え方など進化が非常に速い分野です。
これらの先端技術について調査・検証し、実際にプロジェクトで活用できる場面があることはデータサイエンティストの「技術者」としての大きな魅力・メリットとなります。
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市場価値が高く転職・独立しやすい
データサイエンティストは専門的な知識・スキルを要するため、実務経験があり、企業の課題解決に貢献できる人材ならば個人として十分に活躍できます。データサイエンティストは、特に人材不足が顕著であり、求人募集やフリーランス向けの案件が多く単価が高い傾向にあります。
データサイエンティストの市場価値は非常に高い
データサイエンティストの市場価値は、非常に高い状態にあります。2023年現在、日本がDXを推進する人材として、「特にデータサイエンティストが圧倒的に不足している」と国策として考えていることが大きな理由の1つです。
出典:DX白書2023|図1.デジタル事業に対応する人材の「量」の確保(職種別)
日本のDX推進に関する内容は、以下の記事に記載してありますので、適宜ご参照してください。
データアナリストになるのは、やめといた方が良い?そう言われる訳と実際はどうなのかについて解説!
2023年10月現在、日本が国策として推進していることもあり、DX(Digital Transformation)というワードがテレビ
データサイエンティストに向いている人の特徴4選
ここまでデータサイエンティストについて解説してきましたが、具体的にどのような人が向いているのか、その特徴について4点にまとめました。
数学やデータ分析が得意な人
解説してきたとおり、データサイエンティストはデータ分析の専門家であるため、数学やデータ分析が得意な人に向いています。
数学の学術的レベルに関しても大学レベルの数学・統計学などが問題なくこなせる、必要に応じて学習することに抵抗がない人じゃデータサイエンティストの適性があります。
プログラミング・AIなどのITエンジニアスキルを有している人
データサイエンティストになるためには、少なくともプログラミングやAIなどの知識が必要です。実際に現場で活躍するためにはPythonやRといったプログラミング言語の読解・実装ができる人、AIや機械学習などについての知見がある人がデータサイエンティストに向いています。
新しい技術に対して好奇心が強く、すぐに手を動かせる人がデータサイエンティストに向いています。
ビジネススキルを磨ける人
ITエンジニアの中でも、技術特化ではなく、ビジネススキルを磨く必要がある役職がデータサイエンティストです。
データ分析基盤を構築することが担当業務であり、クライアントとの窓口はデータアナリストなどの別の役割のメンバーが行う場合においても、ビジネスでどのようなデータが必要になるのか経営者視点をもたないと、そもそもデータ分析のとっかかりが掴めません。
そのため、データサイエンティストには業界知識も含めたビジネススキルが必要となります。
コミュニケーション能力が高い人
データサイエンティストの役割として、クライアントに対してデータ分析の結果、および課題解決の提案についてのプレゼンテーションの実施が挙げられます。プレゼンテーションの相手は経営層になることが多く、高いコミュニケーション能力が必要です。
また、社内においても業務内容が幅広いため、チームメンバーとタスクを共有し、マネジメントする能力も必要となります。
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データサイエンティストは高い専門性が必要な分、市場価値が非常に高いです。
日本では、国としてDX推進を担うAI人材としてデータサイエンティストの育成・確保が急務であり、今後とも求人やフリーランスとしての業務委託案件の増加が見込まれます。
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まとめ|データサイエンティストは「やめとけ」どころか需要が高い職種
本記事を通じて、以下の6つのことが分かりました。
- 【結論】データサイエンティストはなくならない
- データサイエンティストが「やめとけ」「なくなる」と言われる理由は「高度な専門性と幅広い知識が必要」「AIの発展により将来性がないという見方がある」「業務内容が広く、多忙である」「経営やビジネスへの理解が必要になる」「業務の責任が重い」
- データサイエンティストの業務内容
- データサイエンティストとして働く魅力・メリット
- データサイエンティストの市場価値は非常に高い
- データサイエンティストに向いている人
データサイエンティストは「やめとけ」「なくなる」との意見があります。
そのおもな理由として、幅広く専門性の高い知識・スキルが必要であり、ITエンジニアとしての技術力以外にビジネススキルや高いコミュニケーション能力が必要であることが挙げられます。
日本は国策としてDX人材を求めているため求人数も多く、AIによってデータサイエンティストが不要になることはありません。重要なことは、自身の希望に沿ったキャリアを築いていくことです。
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