ITストラテジストは実務経験なしでも受かる?コツや利点を詳細解説!
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IPAが主催している高度情報処理試験のひとつに”ITストラテジスト”があります。
高度情報処理試験の中でも最難関に位置づけられており、試験形式も複雑で、ITコンサルタントなどの実務経験がなければ合格できないようにみえるのではないでしょうか。
本記事ではITストラテジストは実務経験なしでも合格できるのか、そもそも資格を取得してメリットがあるのか、詳しく解説していきます。
ITストラテジストの試験は難易度が高く、勉強する時間も多く必要です。
また、難易度の高い資格をせっかく取得してもそれを活かせる職場につかなくては意味がありません。
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- 【この記事を読んでわかること】
- ITストラテジストは士業と並ぶ難関資格、実務経験がなくても合格できるが準備は必須
- ITストラテジスト試験は高度IT人材の証明書、論文対策を制する者が合格する
- リクルートや東急も求めるITストラテジスト、市場評価が高く取得してデメリットなし
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結論:ITストラテジスト試験は実務経験なしでも合格できる
結論ですが、ITストラテジストは実務経験なしでも合格可能です。
ITパスポート試験をはじめとするIPA主催の資格試験には、年齢や実務経験、事前資格などの必要要件を求める試験はありません。
そのため小学生などの学生でも受験可能となっており、当然実務経験がなくても問題ないです。
しかし、ITストラテジスト試験は弁護士や公認会計士などの士業と並ぶほどの難易度であり、合格率も低くなっているためしっかりとした準備は欠かせません。
ITストラテジストはどんな試験か、どうやったら合格が可能なのか、この道筋を押さえることが必要です。
まずは、ITストラテジスト試験の基本を確認していきましょう。
ITストラテジスト試験とは|経営とITを融合する高度IT人材の証明試験
ITストラテジスト試験の概要における確認ポイントは以下3点です。
- ITストラテジスト試験の基本事項
- どのような人が受験するか
- 必要な勉強時間の目安
順番にみていきましょう。
ITストラテジスト試験の基本事項
ITストラテジスト試験の基本事項は以下のとおりです。
資格名 | ITストラテジスト試験 |
対象者像 | 高度IT人材として確立した専門分野をもち、企業の経営戦略に基づいて、ビジネスモデルや企業活動における特定のプロセスについて、情報技術(IT)を活用して事業を改革・高度化・最適化するための基本戦略を策定・提案・推進する者。 |
実施時期 | 春季試験 毎年4月第3日曜日 |
受験料 | 7,500円(税込) |
合格率 | 15%前後 |
試験形式 | 以下4つのセクションで時間を分けて実施。 午前Ⅰ 50分(09:30~10:20) 四肢択一 午前Ⅱ 40分(10:50~11:30) 四肢択一 午後Ⅰ 90分(12:30~14:00) 記述式 午後Ⅱ 120分(14:30~16:30) 論述式 |
合格基準 | 午前Ⅰ、Ⅱ、午後Ⅰ:60%以上の得点 午後Ⅱ:論文A判定 |
ITストラテジスト試験は現在毎年春季に行われ、開催は1回/年となっています。
申し込み時期は不確定ですが、だいたい同年1月中旬~2月の中旬ごろとなるため、受験するときは年明けから少し意識しておくとよいでしょう。
合格率が15%ほどと低めですが、この大きな要因は午後Ⅱで行われる論述式試験が大きいと思われます。
論文は3,000字ほどの字数を手書きで行わなければならず、また問われる課題も難易度が高いものが多いです。
そのため、その場で構成を考えて合格基準を満たす論文を作り出すのはかなり難しいと考えましょう。
しっかりとした事前準備が必要な試験です。
どのような人が受験するか
キャリアアップしたい人、独立したい人にITストラテジストはうってつけの資格です。
上記対象者像のとおり、ITストラテジストは”ITを用いて経営課題を解決できる人材”に向けた資格試験となっています。
昨今、経営とITはきってもきれない関係性となっており、ただシステムを作るだけでなく、市場や会社などさまざまな視点から戦略的にITを用いることが重要です。
VUCAな時代といわれるように経済環境は刻一刻と変化するため、企業経営には適時適切な施策のスピード感をもった推進が求められます。
現場をITを用いてドラスティックに変革する、これを実施できるITストラテジストの需要は高まっており、高額の年収が提示されていることも多いです。
必要な勉強時間の目安
最後は勉強時間の目安です。
一般的には、一定の実務経験を持っている人で200時間ほどが必要といわれています。
平日の仕事終わりに2時間、土日に5時間ずつ勉強できたとして週20時間、これを2.5カ月継続すると200時間の達成が可能です。
しかし、ITストラテジスト試験は記述式や論述式のセクションがあるため、この点に苦手意識がある人は重点的な対策も必要となります。
資格試験講座を展開する大手サービス会社では、記載した論文を送ると専門家がスコアをつけてくれるサービスも展開されているため、不安な人は利用するのも1案です。
計画的かつ継続的な勉強が求められることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
以上、ITストラテジストの基本要綱を解説しました。
次は試験に合格した場合のメリットを考えてみましょう。
ITストラテジスト試験に合格する3つのメリット
ITストラテジスト試験に合格するメリットはおもに次の3点です。
- 高度IT人材であることを客観的に証明できる
- 年収アップにつながる
- 新たなキャリアパスを発見できる
それぞれ掘り下げていきます。
高度IT人材であることを客観的に証明できる
1番大きいのは”客観的に実力を証明できる”点です。
どの資格試験でも共通する事項ですが、特にITやシステムは無形資産に相当する実体のないサービスを取り扱います。
医師であれば患者の完治で、建築士であれば作り上げた建造物でその実力を証明できますが、ソフトウェアはなかなか第3者視点で実績測定するのは難しいです。
そのため、高度IT人材である証明方法のひとつとしてITストラテジスト試験は非常に有用で、その難易度から転職市場などでも高く評価されます。
客観的なお墨付きをもらえるのは資格試験の良いポイントです。
年収アップにつながる
ITストラテジスト試験は年収アップにも貢献してくれます。
近年のDX市場の活況を背景に、企業はさまざまなシステムやツールの導入に躍起です。
経営者も”どの方法が最も他社と差別化できて、投資対効果の高い成果が出せるか”に日々頭を悩ませています。
こういった場面で高度IT人材を証明できるITストラテジスト資格保有者はニーズが高いです。
資格はただの資格なので決定打にはなりませんが、クライアントへの安心材料として効力を発揮します。
より単価の高いプロジェクトに入ったり、個人的な仕事の依頼が発生するためのパスになりうるのがITストラテジストです。
新たなキャリアパスを発見できる
ITストラテジスト資格の保有により、新しいキャリアパスが見えてくることがあります。
ITストラテジスト資格が必須要項のプロジェクトに参画できるようになったり、クライアントからの信頼を獲得しやすくなると仕事の幅が拡大します。
また、資格を足掛かりに自身の実力を証明できれば、個人的な仕事の依頼などを持ちかけられるなど、仕事獲得のチャネルが増えることもあるでしょう。
こうなるとサラリーマンから抜け出して独立起業する、そんなキャリアも現実的な選択肢になります。
自身の未来を広げてくれる、ITストラテジストはそんな側面も持っています。
以上、ITストラテジスト試験のメリットを3つ紹介しました。
続いてはITストラテジスト受験でのデメリットも見ていきましょう。
ITストラテジスト試験の3つのデメリット
ITストラテジスト試験を受けるうえで考えられるデメリットは以下の3つです。
- 試験難易度が高く合格が難しい
- 試験合格にはプライベートな時間を割く必要がある
- 資格を持っているだけではあまり意味がない
順に解説していきます。
試験難易度が高く合格が難しい
まずITストラテジスト試験は難易度が高く、合格が難しい試験だという認識が必要です。
合格率15%は生半可な難易度ではありません。
近年易化した司法試験の合格率が約42%、税理士の合格率が約19%、公認会計士の合格率が約10%となっており、これら国家資格と比肩する難易度だとわかります。
実際にITストラテジスト試験の合格者平均年齢は39歳となっており、相応の実務経験のある受験者がボリューム層でしょう。
これらの人たちも複数回受験して合格に至っていることも十分考えられるため、1回で合格しきろうと思うと相応の準備が求められます。
試験合格にはプライベートな時間を割く必要がある
ITストラテジスト試験合格を目指す場合、プライベートの多くの時間を勉強に割く必要があります。
会社からの指示を除いて、資格試験はプライベートから勉強時間の捻出が必要です。
上でも述べましたが、平日の仕事終わりに2時間勉強するのは結構大変です。
実務経験があり、かつ少し余裕をもった勉強時間でこのスケジュールとなるため、未経験者もしくは短期での合格を目指す場合は比較にならない負荷がかかるでしょう。
短期的といえど、プライベートな時間をかなり消費して試験に臨む必要があるのは大きなデメリットとなりえます。
資格を持っているだけではあまり意味がない
資格を保持しているだけではあまり意味がないのもITストラテジストの辛いところです。
IT系職種は無資格で遂行できる業務がほとんどです。
そのため実務経験偏重の傾向があり、資格を持っている未経験者よりも無資格の経験者のほうが強くなります。
資格を持っているだけで仕事に困らなくなるわけではありません。
資格はあくまで仕事を獲得するための手段のひとつであり、決してゴールや目的ではないことを認識する必要があるでしょう。
以上、ITストラテジスト試験を受験するデメリットを3つ解説しました。
続いては資格合格に向けたコツに触れていきます。
ITストラテジスト試験に合格するための3つのコツ
ITストラテジスト試験に合格するために、以下3つのコツを押さえておくと合格の助けとなります。
- 過去問をひたすら繰り返して解く
- 午後Ⅰ対策は現国対策とおなじ
- 論文は事前の構成準備がマスト
それぞれ解説します。
過去問をひたすら繰り返して解く
午前Ⅰ、午前Ⅱの対策として過去問をひたすら繰り返して解くことをおすすめします。
高度情報処理試験の午前問題は、応用情報処理試験の午前問題と同じ範囲から出題され、かつ四肢択一なので難易度はそこまで高くありません。
さらに午前問題は過去問がそのまま出る流用も多く、ひたすらに過去問を繰り返すことで機械的に回答できるようになるでしょう。
過去問の反復練習には過去問道場がおすすめです、ぜひ活用させてもらいましょう。
午後Ⅰ対策は現国対策とおなじ
続いて午後Ⅰへのコツですが、午後Ⅰは現国を解く気持ちで臨みましょう。
いわゆる高校で学ぶ現国の試験のように、午後Ⅰは”聞かれたことに正確に答える”ことと”適切な語句を抽出する力”が必要です。
問題文にちりばめられた手掛かりから、問いに対して正確な答えの記述が午後Ⅰのすべてです。
問われる内容が評論や小説から企業のIT課題のケーススタディに置き換わっただけ、そう考えるのが良いでしょう。
論文は事前の構成準備がマスト
最後は午後Ⅱ、論文試験の対策方法です。
論文の準備はコアとなるシナリオを2~3つほど用意しておき、問われる論旨によってどんなネタでも導出できるようにしておきましょう。
メインとなるシナリオを作っておき、”全社的な課題はなんだったか”、”事業特性を踏まえたリスクはなんだったか”など過去数年分の問いに対してざっくりと回答を用意しておくとよいです。
また論文は3セクションで構成され、それぞれ800字、1200字、1000字くらいの割合で回答が必要となります。
字数をはみださず、問いに対する回答も網羅し、かつ論理的な構成を組み立てられるよう、何度か練習するのがおすすめです。
以上、ITストラテジスト合格に向けたコツを3つ紹介しました。
続いてはITストラテジストのキャリアパスをみていきましょう。
ITストラテジスト試験の合格後のキャリアパスを2つ紹介
ITストラテジスト取得者の代表的なキャリアパスは以下の2つです。
- ITコンサルタント
- 事業会社のシステム企画部門
ITコンサルタント
ITコンサルタントはITストラテジストの対象者像そのものな仕事です。
企業の経営課題をITを用いて解決するのはITストラテジストの本分であり、ITコンサルタントはIT戦略の策定や課題の調査・解決、PMO業務などすべてにおいてシンクロします。
そのため、ITコンサルタントでITストラテジスト資格を保有している人は多いです。
コンサルティング会社の営業担当も、ITストラテジスト資格保有者は単価を高くしやすいため、会社が取得を推奨しているケースはよく見かけます。
SIerのSEで年収を上げたい、そんな人はITストラテジストを取得してITコンサルタントになるのがおすすめのキャリアパスです。
事業会社のシステム企画部門
2つ目は事業会社のシステム企画部門です。
システム企画は全社的な開発要件を取りまとめる部署で、会社経営に資するIT投資を戦略的な視点で選別することを主業務とします。
経営層と各ビジネス部門の中継役となり、それぞれの意向を汲みながら”どのIT投資が最も効率よく売上拡大・経費圧縮を実現できるか”を検討するのはITストラテジストそのものです。
ITとビジネス両方の知見を活かせるのが事業会社のシステム企画と覚えておきましょう。
以上、ITストラテジストの代表的なキャリアパスを2つ確認してきました。
続いてはITストラテジストの資格を活かせる求人を紹介します。
ITストラテジストの資格を活かせる求人例2選
ITストラテジストの求人にはどんなものがあるか、大手求人サイトの求人例から2つほどピックアップして解説します。
- リクルート:ITコンサルタントとして商用Webシステムのディレクションからリリースまで担当
- 東急:システム企画やITグランドデザイン策定、ITプロジェクト実行
それぞれ見ていきましょう。
リクルート:ITコンサルタントとして商用Webシステムのディレクションからリリースまで担当
まずは世界的な大企業となったリクルートのITコンサルタント募集求人です。
リクルートが展開している商用Webシステムのリニューアルや新商品・新サービスの開発のため、ディレクションからリリースまでリードする人材が求められています。
新たなサービスの展開にはマーケティングやサービス戦略は欠かせず、さらに投資対効果の正確な試算や実際の導入のマネージメントなど多岐にわたる能力が必要です。
当該求人の最高提示年収は1,220万円であり、責任とやりがいのある業務だとうかがえます。
東急:システム企画やITグランドデザイン策定、ITプロジェクト実行
東急もITストラテジストを積極的に募集しています。
渋谷周辺の開発でも著名な東急が近年打ち出している”URBAN HACKS”施策の名のもと、交通から不動産、エンタメなど各事業のシナジーを生み出すためのDXを急速に進めています。
各事業の採算や展望を踏まえ、さらにはグループとしての全体最適はどういったものかITグランドデザインを策定するのはまさにシステム企画、ITストラテジストらしい仕事内容です。
こちらも、最高年収1,200万円とITストラテジストの価値を評価する提示となっています。
以上、ITストラテジストの求人例を2つ紹介しました。
これ以外にも大手企業がDXを推進していくために高額で年収を提示しており、ITストラテジストの市場価値・需要の高まりが観測できます。
続いてはITストラテジストのキャリアプラン策定のサポートに向けた紹介です。
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まとめ|ITストラテジストは実務経験なしでも合格可能、資格を取得してキャリアを高めよう
この記事をとおして、以下のことがわかりました。
- ITストラテジストは士業と並ぶ難関資格、実務経験がなくても合格できるが準備は必須
- ITストラテジスト試験は高度IT人材の証明書、論文対策を制する者が合格する
- リクルートや東急も求めるITストラテジスト、市場評価が高く取得してデメリットなし
ITストラテジストはその難関さから世間の注目度も高く、その反面”資格取得にかかる時間や難易度と実際の効果が見合わない”と反対意見もよく見かけます。
これらの声は合格できなかった人のやっかみが大半だと思いますが、ITストラテジストの資格を持っていればなにもかもうまくいくわけではないのは事実です。
ITストラテジストであることを矜持とし、みずからスキルや経験を積み重ねていくことが理想のキャリアを築く唯一の手段です。
エイジレスはITストラテジスト資格保有者を応援しています。
ぜひ一緒に頑張っていきましょう。