一次請けSIerの立ち位置と一覧|求められる人材像や将来性を解説

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一次請けSIerへの就職を検討している人のなかには、一次請けSIerの位置付けや一覧・将来性・キャリアパスに興味があるのではないでしょうか。
そこで本記事では、一次請けSIerの位置付けや求められる人材の特徴などを、くわしく解説します。
本記事をとおして、一次請けSIerの優位性に対する理解を深め、企業選びの参考にしてください。

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  • 【この記事を読んでわかること】
  • 一次請けSIerは、SIer業界の多重下請け構造において中心的・リーダー的な役割を担っている
  • 求められる人材の特徴は、「継続して学習することを厭わない」「ステークホルダーとのコミュニケーション能力が高い」「優れたマネジメントスキル」の3つ
  • 日本固有の事情や追い風などを背景に、一次請けSIerの将来性は明るく、そのキャリアパスも豊富

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一次請けSIerの位置付けと業務内容・ITコンサルとの違い

一次請けSIer(システムインテグレーター)は、情報技術の専門知識を駆使して、一般企業や官公庁のニーズに合ったITシステムを設計・構築・運用する企業のことを指します。
一次請けSIerの理解を深めるために、以下の4点を見ていきましょう。

  • SIer業界の多重下請け構造
  • 一次請けSIerはどういう仕事をするのか
  • 一次請けSIerとITコンサルとの違い
  • 一次請けSIerがITコンサルより優れている点

それぞれ解説します。

SIer業界の多重下請け構造

SIer業界は、受注する案件規模が大きいほど、ピラミッドのような多重下請け構造を持っています。
ピラミッドの頂点に位置するのが、顧客から直接案件を受注する「一次請けSIer」(「元請け」「プライムベンダー」とも呼びます)。
案件を受注した一次請けSIerが、案件に必要な業務を細分化して、ピラミッドの下に位置する二次請け・三次請け以下のSIerに再発注します。
こうしてピラミッドの層が多重になることから、多重下請け構造と呼ばれています。

多重下請け構造が生じる背景には、どのような事情があるのでしょうか。
公正取引委員会の「ソフトウェア業の下請取引等に関する実態調査報告書」によると、以下の理由が挙げられています。

  • エンドユーザーのニーズの多様化
  • プログラム言語等から生じる専門性
  • 1社だけでは必要な人員を確保できない

一次請けSIerはどういう仕事をするのか

一次請けSIerはシステム開発のプロジェクトに関して顧客と直接契約を結び、プロジェクト全体の責任を負う立場にあります。
具体的には以下の業務を行います。

  1. 案件受注に向けた提案活動
    案件を受注する大前提として、顧客から提案機会をもらう必要があります。そのために日頃から顧客への情報提供を行い、信頼関係を醸成することが重要です。
    晴れて提案機会を得たら競合他社よりも優れた提案書を作成し、顧客に対してプレゼンテーションを行います。
  2. 要件定義・基本設計
    案件受注後、システム開発の上流工程である要件定義を行います。この過程で顧客からの要求事項を整理・すり合わせを実施。
    その後要件を満たすシステム基本設計を作成して顧客の同意を取りつけ、二次請けSIerなどの協力企業に依頼する業務を整理・分担します。
  3. 開発・実装・テスト
    基本設計に基づいて開発・実装・テストを行いますが、その多くは二次請けSIer以下に依頼するのが一般的です。
    そのため一次請けSIerは依頼した作業の進捗状況を管理し、顧客とのコミュニケーションの橋渡し役がメインとなります。
  4. 運用・保守
    無事にシステムが顧客に引き渡された後も、一次請けSIerが運用と保守を受け持つことが多いです。
    システムを安定して稼働させながら運用上の課題を早期に発見し、定期的に顧客に報告を行います。

一次請けSIerとITコンサルとの違い

一次請けSIerとITコンサルタントは、どちらもシステム開発における上流工程を主戦場にしていることから、両者の違いが判然としない人も多いのではないでしょうか。
一言で差異を表すと、一次請けSIerは供給(ベンダー)側の立場、ITコンサルタントはユーザー(顧客)側の立場という点です。
ここでは具体的な違いを見ていきましょう。

  1. 役割の違い
    一次請けSIerは、顧客要望に基づいてシステムの設計・開発・運用に携わり、具体的なプロジェクトを遂行します。
    一方、ITコンサルタントは、顧客に対してIT戦略のグランドデザインやロードマップを提供し、顧客の要望を一緒に具体化する役割を担います。
  2. 契約の違い
    一次請けSIerは通常、特定のシステム開発案件に対して顧客と契約を締結します。
    他方ITコンサルタントは案件単位でなく、顧客と中・長期的な契約を結ぶことが多いです。
  3. 専門性の違い
    一次請けSIerは、実際にシステムを開発するのに必要な特定の技術・ITプラットフォームに関する専門知識を持つことが多いです。
    一方、ITコンサルタントはユーザー視点で業務上の課題を抽出し、戦略的な洞察をもたらす専門性が求められます。

一次請けSIerがITコンサルより優れている点

これまで見てきたように、一次請けSIerとITコンサルタントとでは携わる業務内容が異なります。
その業務内容の違いから、一次請けSIerがITコンサルタントよりも優れている点を解説します。

  1. システムの実装力
    一次請けSIerは顧客の要望を具体的にシステムに実装・構築するスキルや、二次請け以下の協力会社のネットワークを有します。
    これに対してITコンサルタントは顧客企業への戦略的な提案がメインとなる色彩が強いため、実装の面では一次請けSIerのほうが優れています。
  2. プロジェクト管理能力
    一次請けSIerは案件全体の進捗管理を行い、スケジュールや予算を守りながらプロジェクトを進行させます。
    一方、ITコンサルタントは戦略的なアドバイスを提供することがおもな役割であり、プロジェクトマネジメントには重点を置いていないケースが多いです。
  3. 実務経験
    一次請けSIerは実際のプロジェクトに参画し、上流工程から下流工程まで一気通貫で実務経験を積む機会が豊富にあります。
    これに対してITコンサルタントはより戦略的な企画・提案に重きを置くことから、上流工程以外のプロセスに携わる機会は限定的です。
  4. 顧客との関係性の深さ
    一次請けSIerは会社として顧客に向き合っており、顧客のIT部門を中心に幅広く人的ネットワークを構築しています。
    一方、ITコンサルタントは提案先が経営企画部やIT部門の上層部など一部に限定されるため、顧客との関係性の深さという観点では一次請けSIerに軍配が上がります。

ここまでは、一次請けSIer企業の位置付けや仕事内容、ITコンサルとの違いについてくわしく解説してきました。
次では、気になる一次請けSIer企業の一覧や想定されるキャリアを見ていきましょう。

一次請けSIerの一覧(年間売上高順)

一次請けSIerにどのような企業があるのか、売上高や種別、企業としての強みなどを一覧にまとめました。
気になる一次請けSIerを見ていきましょう。
年間売上高・平均年収は直近の有価証券報告書に記載のデータを参照し、非公開の企業は推定値としています。

企業名年間売上高(億円)種別平均年収(円)企業としての強み公式HPリンク
株式会社NTTデータグループ34,902ユーザー系8,670,000官公庁を中心に幅広い業種に対応https://www.nttdata.com/global/ja/
日本電気株式会社33,130メーカー系8,428,687顔認証・生体認証https://jpn.nec.com/
富士通株式会社31,765メーカー系8,789,575ハードウェアを含めた提案力https://global.fujitsu/ja-jp/
株式会社日立製作所23,890メーカー系9,159,908製造業とITを組み合わせた総合力https://www.hitachi.co.jp/
パナソニックコネクト株式会社11,257ユーザー系9,087,894自社デバイスを活かしたソリューションhttps://connect.panasonic.com/jp-ja/
株式会社大塚商会8,610独立系8,567,945一社で完結する総合力https://www.otsuka-shokai.co.jp/
株式会社野村総合研究所6,922コンサル系12,421,000コンサルティングからSIまでの一貫したサービスhttps://www.nri.com/jp/
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社5,709ユーザー系10,287,919通信事業者向けソリューションhttps://www.ctc-g.co.jp/
TIS株式会社5,084独立系7,517,000クレジットカード業界向けソリューションhttps://www.tis.co.jp/
日本アイ・ビー・エム株式会社4686(推定)外資系9,120,000
(推定)
米IBMの最先端技術を活かした提案力https://www.ibm.com/jp-ja
SCSK株式会社4,459ユーザー系7,467,000住友グループという安定した事業基盤https://www.scsk.jp/index.html
アクセンチュア株式会社3620(推定)コンサル系8,700,000
(推定)
世界最大級を誇る従業員を抱えたコンサルhttps://www.accenture.com/jp-ja
BIPROGY株式会社3,399独立系8,163,349独立系SIerとして幅広い業種に対応https://www.biprogy.com/
日鉄ソリューションズ株式会社2,917ユーザー系8,699,000日本製鉄という安定した事業基盤https://www.nssol.nipponsteel.com/
日本オラクル株式会社2,269外資系11,269,806データベース・ミドルウェア製品群https://www.oracle.com/jp/
ネットワンシステムズ株式会社2,097独立系7,661,604シスコ社製をはじめとするITネットワーク提案力https://www.netone.co.jp/
富士ソフト株式会社1,923独立系6,200,000トップクラスのソフトウェア開発力https://www.fsi.co.jp/
株式会社電通国際情報サービス1,291ユーザー系11,282,000製造業や基幹パッケージなどの専門性の高さhttps://www.isid.co.jp/
都築電気株式会社1,239独立系8,659,000約2万社の幅広い顧客基盤https://www.tsuzuki.co.jp/
アビームコンサルティング株式会社1,217コンサル系10,248,577ERP(特にSAP社)製品のノウハウ・導入実績https://www.mri.co.jp/

こちらでは、代表的な一次請けSIerの概要を一覧でお伝えしました。
次では一次請けSIerでどのような人材が求められるのか、くわしく見ていきましょう。

一次請けSIerで求められる人材の特徴

一次請けSIerで働くためには、どのような特徴を兼ね備える必要があるのでしょうか。
おもに「継続して学習することを厭わない」「ステークホルダーとのコミュニケーション能力が高い」「優れたマネジメントスキル」の3つに分けられます。

継続して学習することを厭わない

一次請けSIerでは特に、広範に及ぶ知識・スキルの継続的な習得が必須となります。

独立行政法人情報処理推進機構のDX白書2021によると、国内・IT企業のIT人材の「量」に対する過不足感と「質」に対する不足感は慢性的に満たされていません。

クラウドテクノロジーの隆盛・Chat GPTに代表される生成AIの誕生など、IT業界は特に変化のスピードが早いです。
そうした新しいテクノロジー以外に、担当顧客が属する業界固有の知識・海外ベンダーの製品(サービス)を理解する英語力など、学ぶことに事欠きません。

競合他社との熾烈な競争を勝ち抜くためにも、常に学び続ける姿勢が求められます。

ステークホルダー(利害関係者)とのコミュニケーション能力が高い

立場上、一次請けSIerは多くのステークホルダーと関わりを持つため、高いコミュニケーション能力が欠かせません。
3つの理由を解説します。

  1. 顧客との円滑なコミュニケーション
    一次請けSIerは、顧客の要件やニーズを理解し、それをシステムに具現化する役割を果たします。
    高いコミュニケーション能力を持つことではじめて顧客とのコミュニケーションが円滑に行え、誤解や不明確な点を解消することができます。
  2. プロジェクトメンバーとの連携
    一次請けSIerのプロジェクトは、協力会社を含め多くのメンバーから成り立っており、それぞれが異なる役割を担います。
    プロジェクト体制全体での情報共有や協力を効果的に行い、プロジェクトをスムーズに進行させるためには、高度なコミュニケーションが欠かせません。
  3. 問題解決とリスク管理
    プロジェクトには予期せぬ技術的なトラブルや突発的なスケジュール変更など、さまざまな問題やリスクがつきもの。
    コミュニケーション能力が高いと、問題を早期に発見して適切な対策を講じることが可能です。
    また問題やリスクを顧客や関係者に適切に伝え、透明性を保つことも重要です。

優れたマネジメントスキル

一次請けSIerでは優れたマネジメントスキルがなければ、プロジェクトの成功は実現できません。
その理由を3つ見ていきましょう。

  1. プロジェクトの複雑性
    一次請けSIerは特に、大規模で複雑なITプロジェクトを担当します。
    規模が大きくなるほど多くのサブプロジェクトに細分化され、サブプロジェクトが相互に依存するケースも多いため、全体像を正確に把握して効果的に進捗させることが求められます。
  2. リソース最適化
    プロジェクトのリソース(人・時間・予算)を最適に配分することが求められます。
    予算やスケジュールの制約のもとに臨機応変にリソースを配分し、プロジェクトの品質と効率性を両立させるためにはマネジメントスキルが欠かせません。
  3. 様々なステークホルダーとの調整
    一次請けSIerのプロジェクトには、顧客・開発チーム・協力会社・上司など、多くのステークホルダーが関わります。
    これらの多くのステークホルダーとの連携・調整には、高度なマネジメントスキルが必要です。

ここまでは、一次請けSIerで求められる人材の特徴について詳しく解説してきました。
次では、一次請けSIerの将来性について解説します。

一次請けSIerの将来性は明るい

一次請けSIerへの就職を検討する上で、その業界の動向・展望を知ることは欠かせません。
ここでは3つの側面から、一次請けSIerの将来性を分析します。

  1. 日本におけるIT人材の偏在
  2. ITサービス産業の継続的な成長
  3. DX需要拡大や2025年の崖による追い風
  4. 官公庁・金融機関に代表される超大型案件の存在

それぞれ解説します。

日本におけるIT人材の偏在

日本では、IT人材がIT企業以外よりもIT企業の方に集中していることをご存じでしょうか。
独立行政法人情報処理推進機構のDX白書2023によると、日本における情報処理・通信に携わる人材がIT企業・IT企業以外に所属する割合は2020年が73.6%対26.4%と、IT企業にIT人材が大きく偏在していることが分かります。

一方で比較対象として米国に目を転じると、2021年の米国におけるIT人材の所属企業の割合は、IT企業が35.1%、IT企業以外が64.9%と日本の正反対の状況となっています。

米国と比較すると日本の方がIT企業にIT人材が偏っているため、顧客は自身でITシステムを構築することは困難であり、一次請けSIerの支援が欠かせません。

ITサービス産業の継続的な成長

日本のITサービス産業は近年、継続的に成長しています。

総務省の2021年情報通信業基本調査によると、SIerが属する情報サービス業の売上高は、2016年度の16.7兆円から2020年度の18.8兆円まで、実に12%も伸びています。

出典:2021年情報通信業基本調査|総務省情報流通行政局

同時期の日本の経済成長率がほぼ横ばいであることを踏まえると、ほかの産業と比べてSI業界の市場環境はきわめて良好。

過去の売上高の推移からSI業界は成長産業であり、その産業の中でも優位な立場にいる一次請けSIerは今後も市場規模の拡大を牽引していくと予想できます。

DX需要拡大や「2025年の崖」による追い風

一次請けSIerには今、2つの強力な追い風が吹いています。
それぞれ見ていきましょう。

1つ目の追い風は、DX需要の拡大です。
富士キメラ総研のDX関連の調査によると、2030年のDX国内市場は6兆5,195億円と予想されており、2022年度(2兆7,277億円)の2.8倍に及ぶと見られています。

出典:2023 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望 市場編/ベンダー戦略編|株式会社富士キメラ総研

近年でも新型コロナウィルスの感染拡大を防ぐために、リモートワークや業務プロセスの見直しが劇的に進んだことで、日本全体でDXにより一層の拍車がかかったのは記憶に新しいところ。
日本の人口減少による働き手の不足を補うためにも、企業の生産性を維持・向上させるDXが欠かせません。

加えて「2025年の崖」で指摘された老朽化した既存システムの刷新が、喫緊の需要として存在します。
「2025年の崖」というのは、経済産業省の「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」で一気に有名になった言葉です。
具体的には古くなってしまった既存システムがDXの阻害要因となってしまい、この課題が2025年までに克服できない場合、年間最大12兆円の経済損失が生じると分析されています。
そのため、老朽化した既存システムを抱える多くの官公庁・企業が、近い将来それらのシステムの刷新を急がなければなりません。
そういった顧客に深く入り込んでいるのが一次請けSIerであることが多いので、差し迫ったニーズの恩恵を蒙るチャンスに恵まれます。

このような社会的要請や差し迫ったニーズから、一次請けSIerが果たすべき役割はより一層大きくなると予想されています。

官公庁・金融機関に代表される超大型案件の存在

官公庁や金融機関など、日本国民の生活を支える基幹システムは、一次請けSIerの主戦場です。
その理由は2つあります。

第一の理由として、そのような基幹システムは対応範囲が広範に及ぶため、必然的にシステム開発が大規模となることが挙げられます。
大規模なシステム開発を請け負うには相応の経営体力や過去のシステム納入実績が必要となります。
そのため必然的に、豊富な人的リソースや充実した資本金を擁する一次請けSIerがメイン・プレーヤーとなります。

第二の理由として挙げられるのは、安全保障上の理由です。
一例として、デジタル庁が定めた政府系情報システムの調達方針では、クラウドで利用するデータセンターは国内であることを基本方針としています。
国内の金融機関においても官公庁の監督権限が強いことから、政府と類似の調達ポリシーを持っていることが多いです。
国内にデータセンターを持つことができ、かつクラウドサービスを提供できる事業基盤が必要なことから、潤沢な投資余力を持っている一次請けSIerが有利と評価できます。

以上2つの背景から、一次請けSIerしか請け負うことができない超大型案件が存在するため、一次請けSIerの将来性は明るいと予想できます。

ここまでは、一次請けSIerの将来性について、3つの切り口から解説してきました。

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次では、一次請けSIerに就職後のキャリアパスを見ていきましょう。

一次請けSIerに就職後のキャアリアパス

一次請けSIerに就職した後、考えられる5つのキャリアパスについて詳しく見ていきます。

  • システムエンジニア
  • プロジェクトマネージャー
  • ITコンサルタント
  • スペシャリスト
  • フルスタックエンジニア

それぞれ解説します。

システムエンジニア

一次請けSIerでのキャリアのスタート地点となるのが、このポジション。

プロジェクトマネージャーの指揮のもと、現場レベルの顧客との個別交渉や一部システムの設計・開発に必要な費用や要員の調整などを実施するのがおもな業務となります。
また大規模案件になると、細分化した開発・テスト工程を委託する協力会社とのコミュニケーションや作業の進捗管理を任されることも。

システムエンジニアとして実績を積み上げ、社内外の信頼を獲得することが求められます。

プロジェクトマネージャー

一次請けSIerならではの醍醐味を味わえるのが、大規模案件の司令塔の役割を担う、このポジション。

システム開発案件全体の設計を取りまとめ、スケジュール・人的リソース・予算を適切に計画・管理し、顧客と合意した納期までにシステム開発を完遂させるのが、おもなミッションです。

案件の規模が大きくなるほど、顧客や自社に与えるインパクトも大きくなるので、プレッシャーに押し潰されない精神的なタフネスと高度なマネジメントスキルが欠かせません。
また大規模プロジェクトを成功裡に完遂できると周囲の評価も高まり、市場価値も向上します。

ITコンサルタント

一次請けSIerの中でも稀有なポジションで、顧客の経営上の課題を把握し、ITテクノロジーを駆使して解決案を提示するのがおもな役割です。

プロジェクトマネージャーがシステム開発案件の初期段階から納品までを担当するのに対して、ITコンサルタントはシステム開発案件を生み出すまでの上流工程を担います。

なお、日本の一次請けSIerでは、プロジェクトマネージャーへの橋渡し役や開発のマネジメントまで関与することも珍しくありません。

スペシャリスト

ここまで見てきた顧客業務に即した役割とは異なり、ITセキュリティやITインフラなど、特定の技術領域に特化した人材のポジションです。

プロジェクトマネージャーのような横断的かつ後半なスキルが求められない代わりに、限られたIT分野に精通した専門性を持つことが欠かせません。

テクノロジーの進化が激しいIT業界では特定技術の流行り廃りがあるため、常に最新技術に関心を向け、自己研鑽を続ける必要があります。

フルスタックエンジニア

スペシャリストとは対照的に、複数の技術分野における知識・スキルが秀でているポジションのことを指します。
横断的なIT分野に造詣が深いため、多岐にわたるシステム開発工程のうち複数を1人でカバーすることが可能。
一例を挙げると、「アプリケーション開発とそのアプリケーションが効果的に動作するITインフラを構築できる」「システム開発工程の上流工程から下流工程まで、一気通貫で統括できる」人材です。
昨今、IT業界ではエンジニアが慢性的に枯渇しているため、1人で多くの領域をカバーできるフルスタックエンジニアは日本では特に重宝されます。

まとめ

この記事をとおして、以下のことがわかりました。

  • 一次請けSIerは、SIer業界の多重下請け構造において中心的・リーダー的な役割を担っている
  • 求められる人材の特徴は、「継続して学習することを厭わない」「ステークホルダーとのコミュニケーション能力が高い」「優れたマネジメントスキル」の3つ
  • 日本固有の事情や追い風などを背景に、一次請けSIerの将来性は明るく、そのキャリアパスも豊富

この記事で紹介した内容をもとに、自分のスキル・経験を振り返って、一次請けSIerで求められる人材になるためのステップやキャリアについて、具体的に計画してみてはいかがでしょうか。
一次請けSIerは今後も中長期的にニーズが期待され、幅広いキャリアの選択肢を確保できる点が大きな魅力です。

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執筆者
たかみ
メーカー系SIerの法人営業を皮切りに、外資系ITベンダーのアカウント・エグゼクティブとして長年ソリューション営業に従事。現在は日本のパートナー向けプログラムの企画・運用やパートナーとの共同ソリューションの開発を担当。より効率的・効果的に自社製品を拡販すべく、パートナーとの協業を推進している。趣味はトレイルランニングと読書で、心身ともにリフレッシュすること。