SESの引き抜きはタブー？｜メリット・デメリットを解説

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「SESの引き抜きは違法？」「SESで引き抜きにはどんなメリットやデメリットがある？」

SESエンジニアの引き抜きには、引き抜かれるエンジニア・引き抜く企業それぞれにメリット・デメリットがあります。

この記事ではSESで引き抜きが起こる背景やメリット・デメリットについて解説しています。

SESで引き抜きの注意点を理解することで、SES企業からの最適なキャリア選択ができるようになるはずです！

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SES業界の引き抜き事情

「エンジニアの引き抜きはタブーだ」と認識されている方も多いのではないでしょうか。

SES業界では、常駐先のクライアント企業や上流工程のSES企業によるエンジニアの引き抜きは比較的よくあることです。

SESエンジニアの引き抜きについては、法律的には違法ではありません。日本国憲法第22条の「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」という法律によって制定されています。

しかし、IT業界では引き抜きをタブーとする風潮がある点は理解しておきましょう。

また、法律的に問題はないものの、悪質な引き抜きは企業間のトラブルを招いてしまうリスクもあります。場合によっては、エンジニアが所属していたSES企業から損害賠償に発展することもあり、引き抜きには注意が必要です。

悪質な引き抜きは違法性を問われるリスクもあり、次の章で具体的な例を紹介します。

悪質な引き抜きは違法性を問われたりトラブルになる可能性も

悪質な引き抜きとはケースバイケースですが、複数の人材を引き抜きした場合や計画的に引き抜きをした場合でトラブルに発展するケースがあります。

まず、複数のエンジニアを引き抜かれてしまうと、SES企業は事業存続のリスクや売上毀損といった損失につながる可能性を否定できません。引き抜きを画策した企業が訴えられて損害賠償請求された事例もあります。

また、計画的な引き抜きも悪質とみなされるケースがあります。長期間にわたってエンジニアに転職を進めたり、現職のSES企業に自社へ勧誘している旨を伝えないように指示したりすると悪質だと判断され訴えられる可能性もあるでしょう。

引き抜きをすることでトラブルにならないよう注意しておくことが重要です。次からは、SES業界で引き抜きが起こる理由について詳しくみていきましょう。

SES業界で引き抜きが起こる3つの理由

SES業界ではエンジニアの引き抜きがよく起こり、その理由はおもに3つです。

• IT業界は深刻な人材不足
• 客先常駐でクライアントとSESエンジニアの距離が近い
• 企業とエンジニア双方にとってミスマッチのリスクが低い

それぞれについて詳細を解説していきます。

IT業界は深刻な人材不足

SES業界で引き抜きが起こる理由として、IT業界の人手不足が深刻であることが挙げられます。

みずほ情報総研株式会社の報告書によると、IT人材の需要に対して供給数にギャップがあるというレポートもあり、エンジニアは業界全体として慢性的な人手不足が課題となっています。

優秀なエンジニアがいれば是が非でも欲しいと考えている企業も少なくないでしょう。

そもそもエンジニアの採用が難しい中で、一緒に働いたことがあり、人間性やスキル感を知っている人材を自社に引き抜きたいと考え、引き抜きが発生してしまいます。

客先常駐でクライアントとSESエンジニアの距離が近い

SES業界で引き抜きが起こる理由として、常駐先のクライアントとSESエンジニアの距離感が近くなってしまうことも挙げられるでしょう。

SESエンジニアの雇用元はSES企業ですが、実際に業務時間の大半を過ごすのは、常駐するクライアント企業になります。そのため、クライアント企業とコミュニケーションを取る機会も多く、距離感が近くなっていくこともあるでしょう。

雇用元のSES企業に対する帰属意識が弱くなる一方、常駐先への親近感が強くなり、引き抜きに繋がってしまうケースがあります。

企業とエンジニア双方にとってミスマッチのリスクが低い

SES業界で引き抜きが起こる理由として、引き抜きをおこなう企業とエンジニア双方にとってミスマッチのリスクが低いという理由もあります。

まず企業目線で考えると、SES契約ではあるものの一緒に働いているため、エンジニアのスキルやパーソナリティが分かり、自社にマッチするか判断しやすい状況です。

エンジニア目線で考えると、SESエンジニアはクライアント企業に常駐して働くことが多いため、クライアント企業の雰囲気や働き方が分かり、入社後のイメージを持つことができます。

企業・エンジニア双方が事前に相互理解を深めているため、仮に入社した後のミスマッチのリスクが低いため、引き抜きしやすくなります。

ここまでは、SES業界で引き抜きが起こる理由について詳しく解説しました。次からは、エンジニア目線での引き抜かれるメリットとデメリットをみていきましょう。

【エンジニア目線】引き抜かれるメリット・デメリット

SESエンジニアの引き抜きにおいては、引き抜かれる側のエンジニアと引き抜かれる側の企業にそれぞれメリット・デメリットがあります。

まずはエンジニア目線で引き抜かれるメリットとデメリットを解説していきます。

【エンジニア目線】引き抜かれる3つのメリット

エンジニアの引き抜きには、スムーズに転職できたり年収アップできるなどのメリットがあります。

• 収入アップの可能性が高い
• 転職活動にかかる時間や労力の削減
• 慣れた現場でスムーズに仕事を続けられる

以降では、エンジニア目線での引き抜かれるメリットについて解説していきます。

収入アップの可能性が高い

エンジニアが引き抜かれる場合、年収アップにつながる可能性が高いというメリットがあります。

企業側が引き抜きしたいと考えている場合、現年収よりも高い年収額でオファーをもらえることがあります。エンジニアの人材不足に直面している中で、少しでも採用可能性を上げるために好条件で引き抜き交渉をすることが多いです。

また、クライアントへ常駐して業務に従事しているため、業務についての理解はある程度あります。新しい業務を一から覚える必要もなく、年収アップを実現できる点がエンジニア目線でのメリットになります。

転職活動にかかる時間や労力の削減

エンジニアが引き抜きされるメリットとして、転職活動にかける時間や労力を削減できるメリットがあります。

SESはアサインされる案件によっては残業が多くなったり、業務負担が大きくなったりします。転職活動では複数社の面接を受けたり、企業研究や選考対策をしたりすることが一般的です。しかし、SESでの業務が多忙な中で転職活動をするとなると負担が大きくなってしまいます。

一方、引き抜かれる場合、他社の選考を受ける必要もなく、時間と労力をかけずに転職活動を進められます。

慣れた現場でスムーズに仕事を続けられる

引き抜きされる企業に転職する場合、転職後もスムーズに業務に取り組めるといったメリットがあります。

転職する場合、入社後に業務を一から覚えてキャッチアップするのに苦労するのが一般的です。しかし、引き抜きされる場合、元々常駐して働いているため、業務内容を理解した状態で転職することが可能です。

また、業務内容以外でも人間関係や社風を知った上で転職できることはメリットになるでしょう。多くの転職者が入社後の人間関係や社風に合うかを不安に思っていますが、そういった心配なく転職できる点もエンジニアにとってのメリットです。

ここまでは、エンジニア目線で引き抜かれるメリットについて詳しく解説しました。次からは、エンジニア目線で引き抜かれるデメリットをみていきましょう。

【エンジニア目線】引き抜かれる3つのデメリット

エンジニアの引き抜きには、以下のようなデメリットがあります。

• 法的なトラブルに巻き込まれる可能性がある
• 所属していたSES企業社員に対する気まずさ
• クライアント企業の正社員になると責任が重くなる

それぞれについて詳しく解説していきます。

法的なトラブルに巻き込まれる可能性がある

エンジニアが引き抜かれるデメリットとして、企業間のトラブルに発展し、巻き込まれてしまう可能性があります。

引き抜き自体は法律的に問題はありませんが、転職先企業とSES企業の契約が解約になったりと企業間の取引に影響が出てしまうこともあるでしょう。

基本的には企業間のやり取りになりますが、個人に対して嫌がらせをしてくる企業もいます。引き抜き先の対応によって引き抜かれた側の対応も変わってくるため、トラブルに巻き込まれてしまう可能性があることは認識しておきましょう。

所属していたSES企業社員に対する気まずさがある

エンジニアが引き抜かれる場合、元々所属していたSES企業の同僚や上司と気まずくなることもあるでしょう。

転職した後、所属していたSES企業と関わる機会はそこまで多くないでしょう。しかし、引き抜かれたクライアント企業とSES企業が取引を継続する場合、業務で前職の社員と関わることもあります。

所属していたSES企業の社員と気まずくなる可能性がある点を踏まえて、転職するか検討すると良いでしょう。

クライアント企業の正社員になると責任が重くなる

SES契約の派遣エンジニアからクライアントの正社員になると、与えられる役割や責任が重くなります。

SESは常駐するクライアント企業に労働力を提供する契約形態ですが、正社員として働く場合は、より広範な業務領域を任されたり成果に対する責任を負わされたりします。引き抜きされる場合、一緒に働く中で「SESエンジニアとして優秀だ」と認識された上で声をかけられることが多いです。

転職先での期待値も高くなるため、日々の業務に従事する上でのプレッシャーや成果に対する責任が重くなる点は認識しておきましょう。

ここまでは、エンジニア目線で引き抜かれるメリットとデメリットについて詳しく解説しました。次からは、企業目線でエンジニアを引き抜くメリットとデメリットをみていきましょう。

【企業目線】エンジニアを引き抜くメリット・デメリット

企業がSESエンジニアを引き抜く場合、メリット・デメリットがあります。

以降では、企業目線でSESエンジニアを引き抜くメリットとデメリットを解説していきます。

【企業目線】エンジニアを引き抜く3つのメリット

企業目線でエンジニアを引き抜くメリットは大きく3つあります。

• エンジニアのスキルや人間性を知ったうえで採用できる
• 中途採用にかかる時間やコストの削減
• 現場のエンジニアにとっても馴染みやすい

それぞれについて解説していきます。

エンジニアのスキルや人間性を知ったうえで採用できる

SESエンジニアを引き抜く企業側のメリットとして、スキルやパーソナリティを把握した上で採用できるというメリットが挙げられます。

IT業界では慢性的な人手不足が続いているため、良い人材がいれば採用したいという企業も多くいるのが現実です。しかし、「実際に入社してみたら活躍できそうにない」「自社の社風にマッチしそうにない」といったことも多々あります。

SESエンジニアの引き抜きの場合、常駐しながら一緒に働いているため、エンジニアのスキルやパーソナリティーを事前に見極める可能です。そのため、入社後のミスマッチといったリスクを減らした上で採用できるというメリットがあります。

中途採用にかかる時間やコストの削減

SESエンジニアを引き抜く場合、中途採用にかける時間やコストを削減できるというメリットもあります。エンジニアやIT人材を採用する場合、人材紹介や求人広告に費用をかけたり、採用活動に人事のリソースをかけたりすることが必要です。

一人採用するための採用単価は100万円を超えることもあり、採用には多くのコストと時間がかかります。

エンジニアやIT人材が不足していることから、「費用を惜しまず優秀な人材を採用したい」という企業も少なくありません。しかし、SESエンジニアを引き抜きで採用する場合、上記のようなコストを抑えて採用することができます。

現場のエンジニアにとっても馴染みやすい

SESエンジニアを引き抜く企業側のメリットとして、現場のエンジニアにとっても馴染みやすいというメリットもあります。

SESで派遣されるエンジニアは、常駐先のクライアントのエンジニアチームと一緒に働くことが多く、引き抜き前からコミュニケーションを取っています。新しく社員が入社する場合、受け入れ側の社員が気を遣う場面もありますが、SESエンジニアの引き抜きであれば、馴染みやすく既存社員の負担も少なくなります。

また、既存社員が入社後のオンボーディングを担当することが一般的ですが、SESエンジニアの引き抜きであれば教育コストをかけずにすぐに現場に馴染むこともできるでしょう。

ここまでは、企業目線でエンジニアを引き抜くメリットについて詳しく解説しました。次からは、企業目線でエンジニアを引き抜くデメリットをみていきましょう。

【企業目線】エンジニアを引き抜く3つのデメリット 

企業目線でエンジニアを引き抜くデメリットは大きく3つあります。

• やり方によっては法的なトラブルに発展する場合も
• 引き抜かれるSES企業との関係悪化の可能性
• 引き抜きが公になると企業の信用低下につながる懸念も

それぞれについて解説していきます。

やり方によっては法的なトラブルに発展する場合も

エンジニアを引き抜く場合、引き抜き方によっては法的なトラブルに発展してしまう可能性もあります。

実際、計画的に引き抜きを画策したり大量の人材を一気に引き抜いてしまい、SES企業から損害賠償を請求された事例もありました。

引き抜きした企業が損害賠償を支払った事例もあるため、エンジニアを引き抜く際にはリスクがあることを認識しておきましょう。

引き抜かれるSES企業との関係悪化の可能性

エンジニアを引き抜く場合、SES企業との関係性が悪化する可能性があります。

例えば、引き抜いた社員を自社で働かせることになるため、SES企業との契約を中止されてしまうこともあります。

また、SES企業からすると「派遣したエンジニアが引き抜きされる可能性がある」と考え、引き抜いた側の企業と「今後の取引を一切やめよう」という話にも発展する可能性もありうるでしょう。

元々取引していたSES企業との取引がなくなれば、新たなSES企業を探す工数もかかるため、後々面倒事が増えてしまうリスクには注意が必要です。

引き抜きが公になると企業の信用低下につながる懸念も

引き抜きした事実が公になると、自社の信用低下につながってしまうという懸念もあります。

引き抜き自体は法的に問題ないとしても、IT業界では引き抜きをタブーとする風潮があります。引き抜きを実行した企業だと認識されてしまうと、同業他社や取引先からの信用を失ってしまい、結果としてビジネスチャンスを逃してしまうこともあるでしょう。

「引き抜きする企業」とイメージを持たれてしまうと、他のSES企業からのエンジニア派遣を受けられなくなるリスクもあるため、注意しておきましょう。

ここまでは、エンジニアを引き抜くメリットとデメリットについて詳しく解説しました。次からは、引き抜きたいと思わせるSESエンジニアの特徴をみていきましょう。

【エンジニア目線】引き抜きたいと思わせるSESエンジニアの3つの特徴

SESエンジニアの引き抜きには、企業・エンジニア両者にメリット・デメリットがあることを解説してきました。

しかし、SESエンジニアにとって、常駐先から引き抜かれることはキャリアの幅を広げるチャンスでもあります。

常駐先から引き抜きたいと思われるためのポイントが以下です。

• 高度なスキルや知識があり開発現場で成果を出している
• クライアントや他社の常駐メンバーと良好な人間関係を築いている
• 仕事に対する責任感があり社員としてもやっていける資質を感じる

それぞれについて解説していきます。

高度なスキルや知識があり開発現場で成果を出している

引き抜きたいと思わせるSESエンジニアの特徴として、「高いスキルセットを持っている」「開発現場で成果を出している」といった特徴があります。

エンジニア不足に嘆いている企業は多く、どの企業も優秀なエンジニアがいれば採用したいと考えるものです。実際にSESエンジニアとして一緒に働く中で、高いスキルを持っている社員や開発現場で成果を出している社員であれば、正社員として自社で働いてほしいと考えるでしょう。

SESエンジニアとして、アサインされた案件でスキルを磨きながら成果にコミットすることで、引き抜きしてもらえる可能性も高まっていきます。

クライアントや他社の常駐メンバーと良好な人間関係を築いている

引き抜きたいと思わせるSESエンジニアの特徴として、常駐先でクライアント企業の社員や他の常駐メンバーと良好な人間関係を築いているSESエンジニアも引き抜かれやすい傾向があります。

企業側はエンジニアを採用する際、単に技術力を見るのではなく、自社のエンジニアチームと協力して働けそうかといった観点でミスマッチが起こらないかも気にしています。

そのため、現場で関わるメンバーと人間関係が構築できているエンジニアであれば、「自社で採用しても、人間関係で問題を起こすことはないだろう」と認識してもらえ、引き抜かれやすくなるでしょう。

仕事に対する責任感があり社員としてもやっていける資質を感じる

引き抜きたいと思わせるSESエンジニアの特徴として、仕事に対する責任感があるという特徴もあります。

SESエンジニアから正社員になる場合、与えられる役割や業務領域が広くなります。そのため、企業側が引き抜きするにあたって、仕事に対する責任があるかという点を正社員として活躍できそうかの判断材料の一つにするでしょう。

仕事に対する責任があれば、「今以上の業務を与えても頑張ってくれそう」と思ってもらうことができ、引き抜きされやすくなると言えます。

ここまでは、常駐先から引き抜きたいと思われるエンジニアの特徴について詳しく解説しました。次からは、引き抜き以外で転職や人材を確保する手段としておすすめなエイジレスについて紹介していきます。

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まとめ｜SESの引き抜きは一長一短

この記事を通して、以下のことがわかりました。

• IT人材不足やミスマッチのリスクが低いという理由からエンジニアの引き抜きが多い
• エンジニアが引き抜かれると、効率的な転職活動の実現や年収アップができる
• エンジニアを引き抜くと、ミスマッチ防止や採用コストの削減ができる

本記事で紹介したように、SESエンジニアの引き抜きには、企業・エンジニア両者にメリット・デメリットがあります。

引き抜き方によってはトラブルにつながってしまうリスクもある一方、引き抜きによってキャリアを広げていくチャンスにもつながります。

それぞれのメリットとデメリットを理解した上で、意思決定するようにしましょう。

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