SAPコンサルタントへの転職を解説|年収や中途採用される方法、スキルとは
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SAPコンサルタントはIT技術によって組織の情報共有を推進し、業務効率化をはかるSAPシステムの専門家です。SAPに関する深い知識とプログラミングスキルを持つSAPコンサルタントへの転職を考える人へ向けて、仕事内容・年収・未経験から採用される方法などについて解説します。
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- 【この記事を読んでわかること】
- SAPコンサルタントとは業務基幹システム(ERP)の主要ブランドSAPのコンサルタント
- SAPコンサルタントのおもな仕事は「要件定義」「設計構築」「移行作業」「保守運用」などの4つ
- SAPコンサルタントの求人市場は「2027年問題」を目前に活況であり、未経験者の採用もある
- SAP未経験からSAPコンサルタントになるには、転職によってSAPエンジニア経由か、SAPコンサルタントを直接目指す
SAPコンサルタントとは?転職時に知るべき情報
SAPコンサルタントは、業務基幹システム(ERP)市場で世界トップシェアを誇るSAPシステムに特化したコンサルタントです。
SAPシステムは、企業内に散在するデータを一元管理し、業務の統合による効率化などを推進することを目的とした複数のソフトウェアで構成されています。
クライアントの目的に合わせて、それらソフトウェア群のカスタマイズ・導入サポートなどを行うのがSAPコンサルタントの仕事です。
クラウド型サービスの登場や、企業のITインフラの整備などにより、SAPシステムを含めた国内のERP市場は順調に発展しています。
今後の将来性が期待されるSAPコンサルタントの仕事について、下記の3つを詳しく見ていきましょう。
- SAPコンサルタントの仕事内容
- SAPコンサルタントの平均年収
- SAPコンサルタントの魅力とやりがい
参考:「ERP市場動向に関する調査を実施(2022年)|矢野経済研究所」
SAPコンサルタントの仕事内容
SAPコンサルタントの仕事内容はおもに以下の4つがあります。
所属組織によって、1-4のすべてを1人で担当する場合・一部のみを行う場合・SAPエンジニアやPMなどを含めたチームで実施する場合などがあるでしょう。
1.導入コンサルティング・要件定義
2.設計・システム構築・テスト
3.ユーザー教育支援・移行作業
4.保守・運用
それぞれについて説明します。
1.導入コンサルティング・要件定義
SAPコンサルタントの仕事内容の一つ目は導入コンサルティングと、ユーザーニーズに合わせた要件定義です。
SAPシステム導入時の要件定義ではおもに「Fit&Gap分析」という手法が使われます。
クライアントがシステム導入の要否を判断できるよう、以下のようなステップを踏んで、SAPシステム導入後の想定効果を提示します。
Step1. SAPシステムを導入するクライアントの目的を明確化
Step2. ヒアリングによるクライアントの現状業務プロセスの把握
Step3. 現状業務プロセスの見える化、工数や課題の確認
Step4. SAPシステム導入後に想定される効果と変更の必要なプロセスの特定および検証
2.設計・システム構築・テスト
SAPコンサルタントの仕事内容の二つ目は設計・システム構築・テストです。
設計・システム構築には下記の2つの作業があります。
・パラメーター設定
・ABAP開発(アドオンの開発)
SAPシステムはあらゆる業種で利用可能なパッケージソフトウェアですが、導入時には「言語」「表示メニュー」などをはじめ、あらゆる項目をオプションから選んで設定します。
この作業はパラメーター設定(コンフィギュレーション/カスタマイズ)と呼ばれ、非常に複雑なため、専門家であるSAPコンサルタントの力が必要です。
また、パラメーター設定だけでは対応できない機能を付加する場合には、アドオンの開発を行います。
SAPはABAP(Advanced Business Application Programming)というSAP専用のプログラミング言語で構築されており、アドオンの開発もABAPを駆使できるSAPコンサルタントもしくはSAPエンジニアの仕事です。
設計・システム構築の完了後、テストを行い、クライアント向けデモ環境の準備を行います。
3.ユーザー教育支援・移行作業
SAPコンサルタントの仕事内容の三つ目はユーザー教育支援・移行作業です。
クライアント向けデモ環境においてユーザーテストを実施し、ユーザーの教育を行いつつ、実際の使用に関して不具合が出ればシステム側の調整を行います。
クライアントデモの完了後、クライアントの既存システムとの接続などの移行作業を行い、業務プロセスへの組み込みは完了です。
4. 保守・運用
SAPコンサルタントの仕事内容の最後は保守・運用関連の業務です。
SAPシステムは、導入後も「システム更新」「アプリケーション保守・運用」「障害対応」「ユーザー対応」「小規模改修・追加カスタマイズ」等が必要になります。
また、導入後にクライアント内で起こりがちな下記のようなケースへの対応を行うこともあります。
・運用が回らず、SAPを活用できていない(システム外作業になっている)
・導入時に解決できなかった課題がネックとなって機能を十分に使えていない
・現状システムのバージョンアップや追加開発・環境拡張を行いたい
所属企業が、自社で導入を手がけたクライアント以外に対してのSAP保守・運用サービス(AMS・AMO)を提供している場合は、その対応も行います。
SAPコンサルタントの平均年収
SAPコンサルタントに転職する上で気になる年収や求人内容をインターネットを通じて調査しました。
SAPコンサルタントの求人の年収は、540〜1020万円(最高2,500万円)で、SAPコンサルタントの経験有無・経験年数、任される業務の範囲、期待される役割などで大きく異なっています。
SAPコンサルタントの求人を出しているメインの業種は大きく下記の3つです。
・情報処理サービス(SIerやSES企業)
・ソフトウェア開発
・経営・ITコンサルティングファーム
ソフトウェア受託開発をしている会社が事業の一部でSAPの導入支援を行なうこともあれば、SAPの導入・開発・保守運用をメイン事業とするSIerもあり、その規模もさまざまです。
SAPコンサルタントの魅力とやりがい
SAPコンサルタントにはどのような魅力があるでしょうか。
SAPコンサルタントの魅力とやりがいは、以下を挙げる人が多いようです。
- ビジネスに関する幅広い知見が得られる
- あらゆる業界で役立つポータブルスキルが得られる
- SAPの知識だけでなく、要件定義や上流設計などのスキルも必要
- 個別のプロジェクトの難易度が高い
- 携わるプロジェクトの影響力が大きい
SAPコンサルタントは、ITに関する基礎知識に加え、会計や物流、製造などの幅広い業務知識を得ることができます。さまざまな業界の業務プロセスに実際に触れるため、ビジネス全般に必要な素養が得られるのが魅力です。
また、SAPの専門知識はあらゆる業界で役立つポータブルスキルとなるため、年収アップや転職機会も豊富にあります。
さらにSAPコンサルタントになるには、要件定義や上流設計といったハイレベルのスキルも必要です。また、クライアントの状況に応じて多様なシステム・ユーザー・問題解決課題に向き合う必要があり、プロジェクト自体の難易度が高いことも多くあります。成長意欲が高く、難しい問題にチャレンジしたいタイプの人が向いています。
最後に、SAP関連のプロジェクトは、企業の経営やDX戦略に直結するものが多いのも特徴です。自分の仕事が組織に大きな影響をもたらすことを感じられるのは、やりがいにつながるでしょう。
SAPコンサルタントに転職するには?中途採用市場のサマリー
SAPコンサルタントの転職・中途採用市場の概況
現在、SAPコンサルタントの転職・中途採用市場は「2027年問題」を見据え、採用強化の動きを見せています。
2027年問題とは、2027年末で多くの企業が導入しているパッケージ「SAP ERP 6.0」の保守が終了するため、導入中のすべての企業で下記いずれかの対応が求められています。
- SAPの後継システムへ移行
- 移行せず継続利用
- 他のERPサービスへ移行
いずれの選択肢を取るにせよ、自社のシステムを最適な状態に保つにはSAPの専門家であるSAPコンサルタントの力を借りる必要があります。
大手求人サイトでの募集数
SIerやコンサルティングファームでは案件の増加を見越して、経験者の獲得を急ぐとともに、ITエンジニアからSAPコンサルタントへの転職を目指す未経験者の採用にも力を入れ始めています。
大手求人サイトでの募集数は上昇トレンドにあり、SAPコンサルタントの求人数は2022年5月と2023年6月の比較で約1.5倍に増えています。
※大手求人サイトが公開しているグラフデータや実際の求人数を数値化して算出
大手求人サイトでの給与平均
SAPコンサルタント求人の約7割が集中している東京都では、大手求人サイトでの正社員募集での給与平均は724万円です。
同じく東京都の平均的なITエンジニアの給与が692万円であることから、人材希少性の面からも恵まれた待遇が提示されやすい傾向にあります。
また、SAPコンサルタントはプロジェクトベースでの仕事となるため、フリーランス需要も高い職種です。現在の求人傾向では、平均月収が111万円となっており常時稼働すれば年収が1340万程度と、高収入が狙える案件が多いでしょう。
※上記の正社員情報、フリーランス情報はともにランダムに求人情報を抽出し、求人募集の平均を算出しITエンジニアの全国給与平均と比較しています
SAPコンサルタントに転職する難易度
SAPコンサルタントに転職する難易度は以下のように考えることができます。
- ITエンジニア実務完全未経験:比較的難しい
- 特定の言語での開発経験あり:若手ならチャンスあり
- SAP以外の業務SE実務経験あり:チャンスあり
- 他ERPパッケージの導入・運用保守経験あり:比較的簡単かつ給与アップも狙える
- SAPの導入・開発・運用保守経験あり:簡単に転職でき、給与アップも狙える
現在、SAPコンサルタントの求人は、SAPコンサルタント経験者もしくはその他ERPパッケージ関連プロジェクト経験者が中心です。
また、SAPコンサルタント未経験者の場合でも、SAP特有の言語であるABAPもしくはCOBOLやJava・Pythonなどでの開発経験があれば応募できる求人もあります。
中にはSAPやプログラム未経験者でも「販売管理」「購買管理」「在庫管理」「物流管理」「生産管理」「財務会計」などの一般知識がある場合に応募できる求人などもあります。しかし、そのような求人は多くはありません。
キャリアチェンジでSAPコンサルタントを目指す場合は、ITエンジニアや業務SE経験者、開発経験のあるプログラマーが有利となるでしょう。
SAPコンサルタントへの転職で求められる経験・スキル
SAPコンサルタントへの転職で求められる経験・スキルには、次のようなものがあります。
- SAPコンサルタント/SAPエンジニアとしての業務経験
- SAPユーザーとしての業務経験
- コンサルタントとしての論理的思考力・コミュニケーション能力
- TOEIC700点以上の英語力
それぞれについて説明します。
SAPコンサルタント/SAPエンジニアとしての業務経験
SAPコンサルタントに転職する際には、SAPコンサルタントとしての経験が1年以上、SAPエンジニアとしての経験が3年以上あれば給与アップにつながる転職に有利です。
すべてのSAPモジュール(財務会計・管理会計・販売管理・調達/在庫管理・生産管理)に詳しい必要はなく、どれか一つのモジュールについて「製品知識」「業務知識」「SAP開発・導入の経験」があることが強みになります。
なかでも、上流工程(導入コンサルティング・要件定義)の実績やABAP開発経験があることが高く評価される傾向にあります。
SAPユーザーとしての業務経験
SAPコンサルタント/SAPエンジニアとしての業務経験がない場合でも、特定分野での業務知識があって、さらにSAPユーザーとしての経験があれば転職時にアピールできます。
特定分野とは、SAPモジュールが対象としている業務領域(財務会計・管理会計・販売管理・調達/在庫管理・生産管理)です。業務経験に加え、業務に関するスキルを証明する資格があればなおいいでしょう。
コンサルタントとしての論理的思考力・コミュニケーション能力
SAPコンサルタントの仕事の本質は、クライアントの経営・業務課題の分析を通じ、それらをSAPという手段で解決することです。
そのため、クライアントから必要な情報を引き出し、それを論理的思考によって整理・分析・解決策の提案を行うための能力が重要となります。
特にSAPコンサルタント/エンジニア未経験でポテンシャル採用を狙う場合は、これまでの社会人経験のなかで、そういった能力を活かして上げた実績などがあればそれらをアピールしましょう。
TOEIC700点以上の英語力
SAPの経験有無に関わらず、TOEIC700点以上の英語力があると、応募できる求人・取り扱える案件が広がります。
理由としては下記のとおりです。
- SAPは海外製品であり、最新情報やトラブルシューティング、教育教材などが英語である
- SAP導入企業には外資系企業も多く、業務で英語を利用するケースが多い
- 日系企業のグローバル化とともにSAPの海外拠点導入支援(ロールアウト)案件が増えている
スピーキングができなくとも、ビジネス上でのやりとり、読み・書きができれば十分アピールできます。
未経験からSAPコンサルタントに転職するためのキャリアパス
未経験からSAPコンサルタントに転職するための具体的なキャリアパスを紹介します。
SAPコンサルタントは経験者求人が主流ですが、未経験から目指すことも不可能ではありません。おもなキャリアパスは以下の2つです。
- SAPを取り扱うSIerへSAPエンジニアとして転職
- SAPを取り扱うコンサルティングファームへ転職
SAPはクライアントごとにカスタマイズされた業務システムです。自宅で独学をすることは難しく、実際にSAPを扱う企業への転職で、実務経験を積むことが必要になります。
1. SAPを取り扱うSIerへSAPエンジニアとして転職
ITに関する何らかの実務経験がある場合、もしくは基礎知識がある場合にはSAPを取り扱うSIerへSAPエンジニアとして転職するのがおすすめです。
SAPエンジニアを自社内で育成するSIerは多く、ABAPによる開発や、クラウド環境での開発などの確かな技術を身につけることができます。
SAPエンジニアとして数年の経験があれば、SAPコンサルタントへのキャリアパスはスムーズでしょう。ABAP開発できるコンサルタントの場合、年収も高くなる傾向があります。
SAP事業を専業としている中小SIerや、SAP事業を部門として持っている中堅・大手SIerなど、求人企業の幅の広さもメリットです。
2.SAPを取り扱うコンサルティングファームへ転職
IT関連の業務経験がない場合、自分にITエンジニアへの適性がわからない場合には、SAPを取り扱うコンサルティングファームへの転職がおすすめです。
特に、SAPが扱う業務領域(財務会計・管理会計・販売管理・調達/在庫管理・生産管理)において事業会社での一連の業務知識がある場合、SAP未経験者でもコンサルタントの育成枠で採用される場合があります。
コンサルティングファームといえば、転職業界において狭き門のイメージがありますが、今は中小・中堅の会計事務所や経営コンサルティングの事務所でもSAPを取り扱うところが増えてきました。
SAPエンジニア出身者に比べ、開発の知識が不足する点は否めませんが、短期間でSAPコンサルタントとしてキャリアをスタートできます。また、導入・要件定義・設計といった上流工程での経験を数多く積むことができるため、コンサルタントとして豊かな経験ができるでしょう。
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さまざまな転職エージェントがありますが、結論として以下から選んでおくと、希望に沿った求人を逃すリスクを軽減できるでしょう。
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SAPコンサルタントへの転職で失敗しないためのポイント
SAPコンサルタントへの転職で、事前に考えておきたい失敗しないためのポイントを3つ紹介します。
- 自分に合った転職先を探す
- 高い業務能力・問題解決能力が求められることを知っておく
- 環境適応能力やチームワーク力が必要であることを知っておく
それぞれについて説明します。
自分に合った転職先を探す
SAPコンサルタントとして採用されても、各企業で自社のSAPコンサルタントに期待する役割はそれぞれ異なります。転職先での業務内容やキャリアパスを事前に確認し、自分のキャリアプランにマッチするか検討しましょう。
「SAPエンジニア出身で、導入から開発まで一貫して手がけたい」「SAPコンサルタントして運用・保守・維持管理を中心に手がけたい」「SAPの生産管理(PP)モジュールを中心に手がけたい」など、自分のやりたいことがあれば、それができる転職先を探しましょう。
また、コンサルティングファームをはじめ、基幹システムを扱うSIerでは諸般の事情でプロジェクト進行がハードになることがあります。働き方や社風についても、自分に合っているかどうか十分に吟味しましょう。
高い業務能力・問題解決能力が求められることを知っておく
特に未経験からSAP業界に転職する場合に注意したいのが、SAPコンサルタントは高年収である一方、高い業務能力・問題解決能力が求められることです。
SAPの製品知識やITの基礎知識に加えて、毎回異なるクライアントの業務知識や経営陣の意向を理解し、要件定義を行う必要があります。
さらに、経営陣の意向によってSAPの導入が決まっても、現状システムとの齟齬や現状業務プロセスを変更することへの現場の反発などが起こることもあります。
SAPコンサルタントは、そのような場面でも最新の業務知識、論理的思考、折衝・交渉能力を駆使し、問題解決に当たることが必要です。
環境適応能力やチームワーク力が必要であることを知っておく
所属組織・クライアントにもよりますが、SAPコンサルタントの多くは「客先常駐」での勤務となります。
また、プロジェクト遂行においては、クライアント側の担当者・担当チームとの密な連携が必須です。さらに、大きなプロジェクトを率いるシニアコンサルタントになると、クライアントの他に、PM・エンジニアからなる社内チームの取りまとめも業務内容に入ってきます。
そのため、SAPコンサルタントとして働くには、プロジェクトごとに異なるクライアントの環境に適応する能力や、チームワーク・チームビルディングの力が求められることを理解しておきましょう。
SAPコンサルタントへの転職に役立つおすすめの資格
SAPコンサルタントへの転職に役立つ資格には、どのようなものがあるでしょうか。
SAP未経験者へおすすめの資格2つと、SAP経験者が年収アップを狙える資格を2つ紹介します。
簿記2級【未経験者の転職に役立つ】
簿記2級は、日本商工会議所・各地商工会議所が主催する「日商簿記検定試験」2級のことで、「商業簿記」「工業簿記(原価計算を含む)」に関する基礎知識を有していることを証明できます。
経理処理に関する実務レベルでの重要資格で、SAPコンサルタントに限らずビジネスシーンにおける多くの職種の転職で役に立つので、取っておいて損はありません。SAPの財務会計(FI)・管理会計(CO)モジュールを国内企業に導入する際においても有用です。
平均合格率は20%程度とやや難しい試験ですが、年3回受験できることや学習方法の選択肢が広いことから、比較的挑戦しやすい資格と言えます。
想定される勉強時間は簿記経験者で200時間程度、未経験者で500時間程度とされています。
中小企業診断士【未経験者の転職に役立つ】
中小企業診断士は経営コンサルタントの国家資格です。
「1次試験(7科目)」「2次(筆記・口述)試験」「実務補習・実務従事」のすべてをクリアする必要のある難関資格ですが、この資格単独で転職時に有利になるばかりでなく、将来的にはSAPに関する専門性と合わせることで自分の市場価値を大きく引き上げられるためおすすめです。
クラウド型SAPの登場により、中堅・中小企業でもSAPの需要が高まっています。中小企業診断士の一部合格だけでもアピールになることもあり、コンサルティングファームへの転職や将来の独立も叶えやすいでしょう。
SAPを取り扱う際には、調達・在庫管理(MM)や生産管理(PP)モジュールにおいて、中小企業診断士(特に「運営管理」)の知識が有用です。
想定される総学習時間は1000時間とされていますが、3年以内に7科目のすべてに合格することで1次試験合格となるなど、継続的に資格にチャレンジできるのが特徴です。
参考:「中小企業診断士試験|一般社団法人 中小企業診断協会」
SAP認定コンサルタント資格【経験者や年収アップに役立つ】
SAP認定コンサルタント資格はSAP社の公式資格です。
製品知識や業務レベルを認定するもので、各モジュール・担当領域・業務レベル、さらに製品のバージョンごとに試験・認定があるのが特徴で、全部で140以上の認定が存在します。そのうち日本語で受けられる資格は、現在50種類程度あります。
認定試験に一つでも受かれば、SAP認定コンサルタントを名乗ることができるため、コンサルタントならば最低一つは持っていたい基礎資格です。
また、SAP社のホームページでは認定資格取得者の35%が、賃金・給与アップに繋がったと回答しています。
英語での学習が可能な場合は独学も不可能ではありませんが、日本語での学習ではSAPの公式トレーニングコースを受講するか、実務から学ぶことが必要になります。公式トレーニングコースは高額なため、いずれにせよ、実務を通してSAPに関わる中で取得すべき資格となるでしょう。
AWS Certified: SAP on AWS – Specialty
AWS(Amazon Web Services)の専門知識認定資格「AWS Certified: SAP on AWS – Specialty」は、2022年の4月にできた新しい認定資格です。
AWSはAmazonが提供するクラウドコンピューティングプラットフォームで、長年世界シェアの1位を維持しているサービスです。
SAP社との提携も早くから開始しており、SAP on AWSはAWS上で動くSAPシステムで、2027年以降主流となる「SAP S/4HANA」の実装先としても有力な環境と言えます。
クラウドプラットフォーム上でのSAPシステム運用・移行は、コスト削減や災害リスク回避などのメリットがあり、今後の需要増加が期待できるでしょう。
資格の受験には「5年以上のSAP経験」と「1年以上のSAP on AWSでの作業経験」が推奨されていますが、満たさなくとも受験は可能です。
ただし、AWSをベースとした内容となるため、AWSについての基礎知識のあるエンジニア・プログラマー出身のSAPエンジニア/コンサルタントにおすすめの資格です。
参考:「AWS Certified: SAP on AWS – Specialty」
SAPコンサルタントの転職で目指すべき企業の代表例
最後に、SAPコンサルタントの転職で目指すべき企業の代表例を3社紹介します。
SAPジャパン株式会社
ドイツに本社を置き、世界130ケ国にオフィスをもつグローバルカンパニー「SAP」の日本法人では、SAPコンサルタントの他、オープンポジションでの採用などを積極的に行っています。
ERPパッケージ市場の中で世界・国内シェア率トップを誇るSAPシステムの開発元で働けることは大きな経験となるでしょう。グローバルな舞台で活躍したい人にもおすすめです。
また、転職・就職の大手クチコミサイトによる「働きがいのある会社 2023年版」では、総合11位と高い評価を得ています。中でも「法令順守意識」と「人事評価の適正感」でのスコアが高いのが印象的です。
大手エージェントの調査によると、SAPジャパンの平均年収は859万円で、一般的なIT企業の中でも高めの平均年収となっています。
参考:「SAP Japan」
アビームコンサルティング株式会社
アビームコンサルティングは、日本最多のSAP有資格者を誇るSAPとつながりの強い、日系コンサルティングファームです。1981年の会社設立以来、20年にわたるSAPコンサルティングの経験と実績があります。
SAP人材育成に積極的で、SAP未経験であっても「システム開発経験」「インフラ構築経験」があれば、SAPコンサルタント職に応募可能です。入社後は自社のSAP研修を含むさまざまな研修を受講できます。また、SAPハッカソンをはじめ、国内外を問わずさまざまなSAPイベント・セミナー・外部研修・学会等に参加するチャンスもあるのも魅力です。
同社は2019年度には、SAPジャパン株式会社が同社の優秀パートナー企業を表彰する「SAP AWARD」において「最優秀賞 SAPプロジェクト・オブ・ザ・イヤー」を受賞しています。2023年度においても、SAPのクラウドソリューション領域で最も多くのSAP認定技術者を育成したことが評価され「ザ・ベスト・リソース・パートナー・アワード」を受賞しています。
公式HPに掲載されている採用情報によると、アビームコンサルティングのSAPコンサルタントの年収は580万円 〜 2000万円です。
参考:「アビームコンサルティング株式会社」
参考:「アビームコンサルティング株式会社|プレスリリース」
アクセンチュア株式会社
外資系総合コンサルティングファーム大手のアクセンチュア株式会社も、SAPとの密接なアライアンスを持つ企業です。
国内・グローバルの両方で40年以上のパートナーシップを築いており、国内ではSAP導入売上高トップの企業に送られる「ザ・ベスト・サービス・パートナー・アワード」の7冠を達成しています。
特に、アプリケーション開発のプラットフォーム(PaaS)であるSAP Business Technology Platform(SAP BTP)の啓発・導入に強みを持ち、企業のDXを強力に推進するような大きなプロジェクトに関わることができるのが魅力です。
また、経営戦略コンサルティング・システム開発・導入保守運用までを一貫してかつグローバルに支援を提供する体制が整っている環境を活かし、世界を跨いだプロジェクトにも参加できます。
求人情報によると、アクセンチュアのSAPコンサルタントの年収は400万円〜1,000万円となっています。
参考:「アクセンチュア株式会社」
参考:「アクセンチュア株式会社|SAP Careers」
まとめ|SAPコンサルタントへの転職はエイジレスにお任せください
本記事では、SAPコンサルタントの転職を目指す方向けに以下の内容を解説してきました。
- SAPコンサルタントとは業務基幹システム(ERP)の主要ブランドSAPのコンサルタント
- SAPコンサルタントのおもな仕事は「要件定義」「設計構築」「移行作業」「保守運用」などの4つ
- SAPコンサルタントの求人市場は「2027年問題」を目前に活況であり、未経験者の採用もある
- SAP未経験からSAPコンサルタントになるには、転職によってSAPエンジニア経由か、SAPコンサルタントを直接目指す
株式会社エイジレスでは、現在SAPコンサルタント・エンジニアとして就業されている方や、SAPコンサルタントを目指したい方の転職を支援します。
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また、転職したい方だけでなくフリーランスへの独立支援も行っていますので、どちらにするか悩んでいる方の相談にも対応できます。
ぜひお気軽にご相談ください。