SAPコンサルタントとは?業務内容・年収・必要スキルなど徹底解説
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十河幸恵
おいとま
SAPコンサルタントに興味はあるけど実態がよくわからない、と感じている人は多いのではないでしょうか。
本記事ではSAPコンサルタントに対する疑問をすべて解説すべく、業務内容や年収、向いている人やキャリアパスなど、さまざまな観点から徹底解説します。
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- 【この記事を読んでわかること】
- SAPコンサルタントとは、SAPを用いて課題解決をするコンサルタント
- システム開発のどのフェーズでも活躍でき、求人件数も昨年比1.6倍と増加傾向
- 年収も通常のエンジニアと比較すると高く、+αのスキルで1000万超えも可能
- SAPは世界トップシェアのERPシステムであり、大企業での導入事例も数多く存在する
SAPコンサルタントとは
SAPコンサルタントは、文字どおり”SAPを用いて企業の課題解決を支援するコンサルタント”を指します。
そもそもIT業界でいうSAPとは、ドイツに本社を置くSAP社が提供する”SAP ERP(以下、SAP)”という基幹業務サービスを提供するシステムのことです。
現在ひとつの職種としてSAPコンサルタントが確立されるほどプレゼンスのある製品ですが、SAPコンサルタントがどんな業務をしているのか気になる人は多いでしょう。
今回はそんなSAPコンサルタントの詳細を解説していきます。
SAPコンサルタントの役割
SAPコンサルタントの概要は上述のとおりですが、実際にどんな役割を期待される職種なのでしょうか。
その答えは「数あるサービスの中から最適なものを抽出し、顧客に提案すること」です。
SAPはざっと140件ほどのサービス・アプリケーションを展開しており、ERPとして最大級のスケールです。
SAPコンサルタントはこの大量のサービス群から最適なソリューションを選び出し、顧客に提案することがおもな業務です。
また、現在の業務をアプリケーションにあわせる、といった逆の観点でも提案できる必要があります。
おいとま
ERPなどのパッケージシステム導入の主要なメリットとしてコスト削減があげられます。現在の業務をどのようにスマートにしていけばよいかを理解していると、コンサルタントとして大きな価値を発揮できるでしょう。
おいとま
SAPコンサルタントとERPコンサルタントの違い
SAPコンサルタントに類する存在として、ERPコンサルタントがあります。
つまりERPコンサルタントのなかのひとつの専門家として、SAPコンサルタントが含まれている形です。
おいとま
ERPとはEnterprise Resource Plannningの頭文字をとった略語であり、企業の経営資源を最適化するための方策やシステムを指します。
ERP向けのサービスを提供する会社にはOracleやオービックなどが存在しており、その競合としてSAPがある形です。
そのためERP製品全般を対象とするコンサルタントとは異なり、SAPコンサルタントはSAPに特化した知識やノウハウを保持している必要があります。
おいとま
SAPコンサルタントの概要が分かったところで、SAPの具体的な仕事内容を確認していきましょう。
SAPコンサルタントの仕事内容
SAPコンサルタントは”SAPを用いて企業の課題解決を支援するコンサルタント”ですが、具体的な仕事の内容を以下の観点でもう少し掘り下げてみます。
- 企画・提案
- 設計
- 実装・テスト
- 運用・保守
企画・提案
SAPコンサルタントの本領ともいえるのが企画・提案です。
昨今の企業は多くの課題を抱えており、中でもDXにおいて悩んでいる企業が数多く存在します。
そのような状況下で、SAPのサービスを利用することでいかに課題を効果的に解決できるのか、SAPコンサルタントとしての腕が試されます。
おいとま
たとえば出張や接待の経費をデジタルで管理したい場合は”SAP Concur”を提案し、すでに企業に点在しているデータを吸い上げて経営分析を行いたい場合は”SAP Analytics Cloud”をすすめる、といった具合です。
さらに企業はこういったシンプルな課題だけでなく、企業構造や業界慣習などによっていくつもの課題が複雑に絡み合った場合がほとんどです。
そんなときもSAPコンサルタントとして、複数のサービスを掛け合わせたソリューションを提供できるようにしておくとよいでしょう。
なにか課題があったときに真っ先に相談される人物になっておく、そのような信頼関係の構築も企画・提案フェーズではとても重要です。
設計
SAPコンサルタントは、設計フェーズでも大きく活躍できます。
SAPを導入したい企業があったとして、企業によっては非常に古いシステムを使っていたり、いくつものシステムが入り乱れた複雑な構成になっていたりします。
そんなときにSAPのサービスが既存のシステムに対してどのような影響を与えるのか、どこを変えれば効果的にシステム連携ができるのかなどの観点での顧客サポートも、SAPコンサルタントの仕事です。
そのためSAPだけでなく、一般的なシステム知識やシステム開発の知識を保有していることが強く望まれます。
バグは設計時に埋め込まれると結合テストやユーザーの受入テストまで見つからず、大きな手戻り工数が発生することがザラです。
おいとま
ぜひSAPの専門家としての知見を活かし、質の高い設計ができるようにしておきましょう。
実装・テスト
実装やテストの工程では、おもにアドバイザリー業務に従事します。
たとえば顧客独自のマクロからSAP製品にデータを引き渡したいというニーズがあった場合、インターフェイス設計の留意点など実装者に伝えることがあります。
テストフェーズでは作成されたテストケースや実施結果エビデンスのレビューなど、有識者として全体の品質を上げる役割につくことが多いです。
特にテストフェーズはシステムリリース前にバグを検出する最後の砦のため、SAPコンサルタントとしての知識を総動員しての対応が求められます。
システムの品質を上げるうえでも、実装・テストフェーズでもSAPコンサルタントの存在は欠かせません。
おいとま
運用・保守
運用・保守においてもSAPコンサルタントはプレゼンスを発揮します。
システムが実際に本番で動いてみたらなにかがちがった、というのはシステム開発で往々にしてあります。
現在の業務に適していなかったり、レスポンスが遅かったり、カスタマイズしたい点が見つかることが普通です。
そういった大小の不満が次回の開発案件につながっていきます。
SAPコンサルタントとして現場へのコネクションを作り、数々の不満を拾えるようにしておくと次回の提案につなげられるようになります。
ここまでは、ウォーターフォールの開発フローに沿ってSAPコンサルタントの業務内容を確認してきました。
実際はもう少し複雑な要素もありますが、コンサルタントとしてクライアントといかにWin-Winの関係を作っていけるか、SAPコンサルタントとして常に考えられる人が向いています。
続いてはSAPコンサルタントの年収事情を詳しく確認していきましょう。
SAPコンサルタントの年収
SAPコンサルタントが実際どの程度の年収を得ているのか、雇用形態別で確認していきます。
おもな求人サイトで検索した概算の平均値は以下のとおりです。
正社員 :650万円+賞与/年
フリーランス:1320万円/年 (110万/月*12ヶ月で計算)
派遣社員 :864万円 (時給4,500円*160時間*12ヶ月で計算)
いわゆる一般的なエンジニアの年収が590万円ほどのため、それと比較すると少し高めに設定されています。
それぞれ掘り下げてみましょう。
正社員の年収
SAPコンサルタントの正社員の年収は650万円です。
正社員の年収は、おおよそ500~800万円のレンジで募集が多くなっているため、この金額となっています。
年収の変動要素としてはSAPを業務で取り扱った年数や、扱ったことのあるモジュールの種類によって幅が生まれてくるようです。
賞与が発生する点、また会社員なので福利厚生や税制面での優遇を踏まえると、650万円という見た目以上にSAPコンサルタントは稼げる職業になっています。
フリーランスの年収
フリーランスは人月での単価計算となるため、単価×12で単純計算した結果1320万となりました。
一般的なエンジニアの単価と比較すると10数万円ほど多くなっており、SAPコンサルタントが需要のある仕事だとわかります。
案件によっては完全リモートや週2~3日の稼働といったものもあるので、自由な働き方を好む人はフリーランスがおすすめです。
フリーランスとして気をつけるべき点は、案件を獲得できないなどの要因で売上がガクっと落ちる可能性があることです。
見込んでいた売上が確保できない場合、各種経費や税金の支払いなどが滞ってしまうリスクも考えられます。
おいとま
メリットとデメリットいずれもありますが、SAPコンサルタントとして案件を獲得し続けられる実力があれば十分アリな選択肢といえるでしょう。
おいとま
派遣社員の年収
派遣社員としてのSAPコンサルタントの年収は864万円と、正社員より高額です。
上記計算では時給4,500円で算出していますが、案件によっては6,000~7,000円などの高時給案件もあり、さらなる年収アップを見込めます。
ただしフリーランスと同様に、働けない場合は収入減に直結する点と、派遣契約が終了した際にみずから営業をかけて次の案件を取りにいく動きがしづらい点は派遣社員のデメリットです。
自分の働きたいときに働けるといった観点を重視するのであれば、フリーランスのほうがおすすめです。
次に、SAPコンサルタントの将来性を確認してみましょう。
SAPコンサルタントの将来性
SAPコンサルタントの将来性ですが、結論からいえば将来性は高く、需要も増加傾向にあります。
エイジレス独自の情報と求人サイトの情報をあわせた結果にもとづき、詳細を確認していきましょう。
大手求人サイトの募集数からみるSAPコンサルタントの需要と将来性
エイジレス保有のデータベースに加え、調査を行った大手求人サイトでのSAPコンサルタントの求人件数はいずれも上昇傾向にあり、SAPコンサルタントの求人数は2022年7月と2023年7月の比較で約1.6倍に増加しています。
SAPコンサルタントの年収も、需要に応じて増加傾向にあります。
正社員の年収レンジでいえば上限が1,000万円程度だったものが1,200円万上限となるなど、高スキルの人材を高年収で獲得しようとする企業の増加が目立ちます。
需要の増加がなぜ発生しているのか、次の項で確認しましょう。
SAP 2027年問題による企業からの要請
SAPコンサルタントに大きな影響を与える要素として「SAP 2027年問題」があります。
これは現在多くの企業で導入されている「SAP ERP 6.0」のサポートが、2027年をもって終了するというもの。
サポートの終了に向けて各企業は「SAP ERP 6.0」の後継である「SAP S4/HANA」に移行するか、ほかのERPに乗り換えるかなど大きな転換を求められています。
SAPコンサルタントとしてこれは大きな商機です。
SAPS4/HANAへの移行を想定した場合、取り得る選択肢は大きく以下の2つです。
- コンバージョン方式 (移行負荷:中 新機能活用度:中)
- リビルド方式 (移行負荷:高 新機能活用度:高S4/HANAの新機能を活用したい場合はこちらがおすすめ)
1.コンバージョン方式
まずコンバージョン方式を紹介します。
こちらは現行機能で業務は問題なく行えており、コストを抑えて移行したい場合におすすめの方式です。
ERPシステムが取り扱う業務範囲やデータ量は膨大になる傾向があり、移行の手間はとても大きくなります。
そんななか後継システムであれば互換性も多くあり、経済的・時間的な負荷を抑えトラブルも最小限に移行できる可能性が高くなるでしょう。
その反面、S4/HANAから提供されている新たなサービスをそのまま使うことができない点がデメリットとして挙げられます。
2.リビルド方式
次に紹介するのはリビルド方式です。
こちらはS4/HANAの新機能を活用し、現行業務をレベルアップしていきたい場合におすすめです。
リビルドという名前のとおり、現行SAPからS4/HANAへの再構築が必要となります。
そのため業務とシステムの整合やデータモデルの調整、ジョブの見直しなど移行の負荷は大きなものとなります。
しかし現在のデータを引き継ぎながらS4/HANAの新機能を活用できるようになるため、無事リリースできたときのビジネスメリットは計り知れません。
2027年問題に十分なリソースをあてられるならばリビルド方式をおすすめします。
おいとま
大きな移行方針として2点紹介しました。
もちろん白黒はっきりつける必要はなく、原則としてコンバージョン方式で移行し、競争力のある領域のみリビルド方式でレベルアップする、といった混合型もあり得るでしょう。
2027年問題に向け多くの検討事項が存在しているため、スムーズな切り替えに向けてSAPコンサルタントの需要も高まっています。
SAPコンサルタントは、少なくとも2027年までは需要や年収は増えやすい傾向にあるでしょう。
続いてSAPコンサルタントに求められるスキルをみていきましょう。
SAPコンサルタントに必要なスキル
SAPコンサルタントに求められるスキルは多様です。
今回はその中でも特に重要な4つを紹介します。
- 高度なコミュニケーションスキル
- 課題抽出能力
- ソリューション提案力
- 実行支援力
高度なコミュニケーションスキル
コンサルタント全般に言えることですが、クライアントとして相対するのは部長やCxOなど役職のついた経営層であることがほとんどです。
そのため、コンサルタントとして正確に情報を聞き出すこと、会話の応対が論理的であることが強く求められます。
ロジカルかつ互いの解釈にズレが生じない正確なコミュニケーションを行えることがSAPコンサルタントとして第1に重要なスキルです。
課題抽出能力
SAPコンサルタントとして課題を抽出する能力も重要です。
顧客がみずから発する課題は表層的なものが多数を占めます。
たとえば、”営業にコストがかかりすぎている”という顧客からの課題提起があったとします。
このとき顧客の言うことを鵜呑みにし、”営業にかかるコストを抑えることが課題解決になる”とするのは早計です。
顧客がなぜ営業コストがかかりすぎている点を課題と感じているのか、この点をヒアリングする必要があります。
コストがかかりすぎている、という背景には優秀な人材を採用できない、重要業務にリソースを割り振れないなど顧客自身が気づけていない課題が眠っていることが多いです。
解決することで顧客に大きな好影響を与えられる課題を見つける力は、SAPコンサルタントに必須です。
ソリューション提案力
SAPコンサルタントにはソリューションの提案力も不可欠です。
上述のとおり、SAPには140以上のサービスが存在しています。
そんな中から顧客の課題に対して適切なソリューションを提示するには深いSAP製品の知識と、それに立脚した合理的な提案が顧客からの評価を獲得する重要な要素となります。
課題解決はコンサルタントの真骨頂ともいうべき領域のため、ぜひこの力は伸ばしていきましょう。
実行支援力
昨今のITコンサルタントには実行支援力も求められます。
課題抽出からソリューションを提案したあと、顧客は実際にそれを社内のリソースを用いて対応していく必要があります。
しかし社員も現在の業務があるなかで、大きな変革を成し遂げていくのは難易度が高いです。そのため、SAPのスペシャリストとしていかにしてソリューションを会社に適用していけるかなど、顧客に伴走して課題を解決していくスキルが必要です。
SAPコンサルタントとして必要な力を4つ紹介しました。
次にSAPコンサルタントとしてのキャリアパスを確認していきましょう。
SAPコンサルタントのキャリアパス
SAPコンサルタントのキャリアパスは多くありますが、想定しうる3つのパターンを紹介します。
3つの項目をそれぞれ掘り下げてみていきましょう。
- SAPコンサルタントのキャリアを極める
- ITコンサルタントとしてキャリアを広げる
- フリーランスとして独立する
SAPコンサルタントとしてキャリアを極める
まず1つ目は、今いる会社でSAPコンサルタントとしての実力を高めていくキャリアです。
たとえばITコンサルティング大手であるアビームコンサルティングは、会社としてSAPのコンサルティング業務を強みとしており、HPに専用のページを設けるほどです。
こういった会社であればSAPコンサルタントとしての知識や実績を積むことで昇進が狙え、場合によってはCxOや役員などに昇りつめることも可能でしょう。
SAPコンサルタントは極めれば昇進の大きな武器になることは間違いありません。
会社員として現実性のあるキャリアパスといえるでしょう。
ITコンサルタントとしてキャリアを広げる
続いてはITコンサルタントになるキャリアパスです。
SAPコンサルタントはスペシャリストとして需要はありますが、SAPを使っていない・使う予定のない会社であれば雇おうとは思いません。
そのためSAPに限定をしないITコンサルタント職種に転身し、自身のキャリアを広げていくのは有効な手段です。
ITコンサルタントであればSAP以外の製品提案も可能となり、またERP関連だけでなくアプリケーション開発やIT戦略策定などの超上流工程に携わることもできるようになります。
より可能性を広げられる、短期間で年収をぐっとあげられる即効性のあるキャリアパスとしてITコンサルタントへの転職はおすすめです。
フリーランスとして独立する
最後は会社員ではなく、フリーランスのSAPコンサルタントになるキャリアパスです。
SAPコンサルタントとして仕事をしていくうちに、顧客から会社ではなく個人として評価をしてもらえる機会が多い人にはぜひ独立をおすすめします。
フリーランスであれば、働き方や案件をみずから選択できるようになる自由度の高さもさることながら、営業から経理などの事務を含めた経営手法を身につけることができます。
自分の人生を自分の力で切り開いていく、そんなチャレンジ精神をもった人は年収も青天井を狙えるフリーランスのキャリアパスは検討してみてもよいでしょう。
SAPはシェアの高い製品のため、キャリアパスとして選べる範囲が広い点も魅力です。
次では、SAPコンサルタントとしての実力を示すために有効な資格を紹介します。
フリーランスにおすすめの案件探し方法
フリーランスエージェントは、それぞれ保有している案件が異なるため、2〜3社に登録しておくと収入が途絶えるリスクを軽減できます。
迷った場合は、実績が豊富な『Tech Stock』や、年齢不問/ハイクラス案件特化の『エイジレスフリーランス』がおすすめです。
①Tech Stock
20年目の実績があるフリーランス案件紹介サイト。これまでに築いた信頼により月80万円をこえる高単価案件も多数あります。
スキルアップや税務関連のサポートなど、フリーランス向け福利厚生サービスも利用可能なため、まだどこにも登録していない人でも安心して利用できます。
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②エイジレスフリーランス
年齢不問/上流商流のハイクラス案件に特化したエージェント。
SIer・コンサル・大手SESなどの案件を多数保有しており、ユーザーからの評判が良く誠実な対応も強みです。
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SAPコンサルタントにおすすめの資格
SAPコンサルタントにおすすめの資格を未経験向けで2つ、年収アップで2つの計4つを紹介します。
- 基本情報処理技術者
- 応用情報処理技術者
- SAP認定コンサルタント資格
- ITストラテジスト
基本情報処理技術者
まず未経験者におすすめなのが、基本情報処理技術者です。
ITエンジニアの登竜門ともいえる資格で、システム開発やプログラミングの基礎的な知識を問われます。
合格率は55%前後と比較的易しく、未経験者でも200時間ほど勉強すれば十分合格可能な難易度です。
ITエンジニアとして手始めにもっておくとよい資格であり、基礎的な知識を身につけておくことで実際に働き出してからも役に立つ場面が多いので、ぜひ取得をおすすめします。
応用情報処理技術者
応用情報処理技術者はIPAが発行する資格で、基本情報処理技術者の上位資格に位置します。
応用的なシステム開発やシステム知識を問う試験です。
合格率は25%程度と相応の難易度があり、完全未経験の場合は500時間ほどが勉強時間の目安となります。
4人に1人が合格する、というとそんなに難しくないのではと思う人もいるかもしれませんが、侮ってはいけません。
応用情報処理の合格平均年齢は29歳ほどであり、ある程度現場での開発を経験してきた人が合格に至っていると読み解けます。
2~3年目くらいで小さなプロジェクトを1つ任されるようになったときに受験してみると、知識が体系化されるなどのメリットがあるのでおすすめです。
エンジニアとして転職する際にも力を発揮する有用な資格です。
おいとま
SAP認定コンサルタント資格
SAPコンサルタントとして年収を上げる際におすすめなのが、SAP認定コンサルタント資格です。
そのなかでも、業務系知識を有するSAPコンサルタント向けのアプリケーションコンサルタントを紹介します。
合格率は60%と高く、実務経験を積んでいる人であれば数十時間の試験対策を行えば合格は難しくないでしょう。
SAPに認定される資格であり、顧客から見ても資格保有者であればSAP関連の開発に入ってほしいと思われるきっかけとなります。
SAPコンサルタントとして年収を上げるには必携の資格です。
ITストラテジスト
最後に紹介するのはITストラテジストです。
これもIPAが発行しており、高度情報処理試験の中でも最難関とされるIT戦略策定に特化した資格です。
合格率は15%程度と低く、実務経験がある人でも200時間程度の勉強時間が必要となります。
また論文試験もあるため、ただ知識があるだけでは受からない点も注意ポイントです。
しかしその分、資格を保有していると高い評価を得やすくなります。
独立してフリーランスになった場合など、会社の看板がなくなったときでもこれらの資格を保有していれば第三者に対するアピールにもなるので、ぜひ取得をおすすめします。
SAPコンサルタントとして持っておくとよい資格4点を紹介しました。
次はどんな人がSAPコンサルタントに向いているのかを紹介します。
SAPコンサルタントに向いている人の特徴
以下の強みをもつ人は、SAPコンサルタントに向いています。
それぞれどういったつながりがあるのか確認していきましょう。
- 理由や原因を考える癖のある人
- 仮説・検証が得意な人
- やりきる力のある人
理由や原因を考える癖のある人
目に入ったものに対して常に理由や原因を考える癖のある人は、SAPコンサルタントの適性があります。
たとえば行列ができているクリーニング屋を見かけたとき、普通の人であれば「なんだか行列ができているなぁ」でとおり過ぎてしまうことでしょう。
一方で、「なにか特別なサービスを提供しているのか」「ほかのお店との違いはなにか」などの疑問が真っ先に思い浮かぶ人は、コンサルタントに向いています。
コンサルタントは顧客との会話の中でふとした課題の芽を拾い上げる必要があります。
物事を突き詰めて考える癖のある人はこのアンテナの感度が高く、コンサルタントとして必要な素質を満たしている可能性が高いでしょう。
仮説・検証が得意な人
仮説・検証が得意な人もコンサルタント向きです。
上と同じ例を用いて説明すると、行列のできているクリーニング屋に対して
「クリーニングのスピードがとんでもなく速いのではないか」
「他店と比較して店内スペースが広く”行きたくなる店づくり”をしているのではないか」
など、自分なりに推測をするのが仮説の構築です。
さらにこの仮説の確からしさを確認するためクリーニング屋に入店し、店員からサービスを詳しく聞き出す、といった行動が検証に相当します。
コンサルタントは課題解決方法を模索するときにみずからの仮説を導き出し、それをもとにリサーチや検討をすすめます。
仮説・検証が得意な人は、ぜひコンサルタントになることを検討しましょう。
やりきる力のある人
最後はやりきる力のある人です。
コンサルタントは決められた期限に対し、期待以上の成果物をアウトプットして評価される仕事です。
そのため顧客よりも業務やシステムを理解し、誰が見てもわかる成果物を作成する必要があります。
その過程で資料がまともに存在しなかったり、有識者へのインタビューが遅々として進まないなど多くの課題に遭遇します。
そんなときでもくじけることなく、どうすればできるのか、なにをすれば目の前の課題をクリアできるのか、思考を止めずにゴールに向かって走り切る力が求められます。
やりきる力を持つ人こそSAPコンサルタントになるべきです。
続いては、未経験からSAPコンサルタントになるためにどうしたらよいか、必要なステップを解説します。
未経験からSAPコンサルタントになるための3つのステップ
未経験からSAPコンサルタントになるのは簡単ではありません。
しかし”このサービスの知識なら誰にも負けない”、そんな強みがあれば道は開けるかもしれません。そのために必要なステップが以下の3点です。
詳しく見ていきましょう。
- 強みを持てる仕事をする
- 資格を取得する
- ソーシャルクラウドで案件を受注する
強みを持てる仕事をする
正攻法は、まず自身が専門性を積めるポジションに就くことです。
会社勤めだとなかなか難しい部分もありますが、とはいえ未経験からSAPコンサルタントになるには自分なりの専門性を磨かないことにはスタートラインに立てません。
たとえばERPのなかでも、CRMやマーケティング部分に強みを持ちたい場合はSAP Emarsys Customer Engagementを実務で使えるように上司に相談してみる、といった具合です。
みずからやりたいことを対外的にアピールしていくことで仕事を引き寄せ、自分なりの強みを構築していきましょう。
資格を取得する
次にわかりやすいステップとして資格取得があります。
SAPコンサルタントとしての実務経験はなくても、知識を備えていれば働ける可能性が広がるからです。
採用サイドの目線に立てば、実務経験のない人をSAPコンサルタントとして採用するのは決め手に欠けることを想像できるでしょう。
しかしSAP認定コンサルタント資格など、第三者から見てわかりやすい目印があれば、”採用してみよう”という気持ちにさせられるかもしれません。
ソーシャルクラウドで案件を受注する
最後はソーシャルクラウドで案件を受注して働いてみることです。
たとえば代表的なサイトのクラウドワークスでSAPと検索してみると、SAPのコンサルタントの発注もいくつかヒットします。
その中から未経験可の案件を探し出し、ひとまず実務経験を積むことは大いにアリでしょう。
実務に勝る経験はほかにありません。
みずから問題を解決したり成果物を納品したりする必要があり、さらに報酬も発生するとなれば期待に応える責任も発生します。
SAPコンサルタントの第1歩としておすすめのステップです。
次では、実際にSAPコンサルタントが活躍している事例を紹介します。
SAPコンサルタントが活躍する企業の実例3つ
SAPコンサルタントは、どのように社会や企業に貢献しているのか、大企業でのSAP導入による成果をベースに詳しく確認していきましょう。
紹介するのは以下の3社の事例です。
- アクセンチュア
- ヨネックス
- YAMAHA
アクセンチュア
グローバルな総合コンサルティングファームとして有名なアクセンチュアもSAPを導入しています。
世界的に行われる調達や購買活動の支出の分析、削減のためにSAPのサービスであるSAP Fieldglassを導入しました。
SAP FieldglassはESGの観点を盛り込むにも適しており、グローバル企業として重要なCSRを達成する過程でもSAPは非常に大きな役割を果たしています。
当然SAP導入にあたってはSAPコンサルタントが活躍していたことでしょう。
ヨネックス
ヨネックスは世界的に活躍している日本発のスポーツ用品メーカーです。
ヨネックスは1946年創業と歴史が長く、利用しているシステムも国産のパッケージに対して数多くの開発を加えており、複雑かつ保守性・効率性が低くなっている点が経営課題としてありました。
そこでSAP S/4HANAをはじめとするSAPのソリューションを導入し、グローバルな経営システム統合で競争力を高めることができました。
既存のシステムアーキテクチャや業務フローを踏まえながら、どのようにしてSAPに適合させていくべきか、こういった点を考えるのがSAPコンサルタントのミッションとなります。
YAMAHA
最後はYAMAHAの事例です。
ヤマハ発動機の北米子会社では契約労務管理にマニュアルプロセスが多く残っているなど、システム化余地のある業務が多く存在していました。
そこでSAP Fieldglass Contingent Workforce Managementを導入し、IT部門の外部労務管理のプロセス効率化で多くのリソース削減を可能にしました。
現状の業務プロセスを分析かつフロー化し、いかにしてSAPのサービスにフィットさせていくことができるかを説明するのは、SAPコンサルタントの重要な業務です。
多くの企業でSAPコンサルタントが活躍し、数々の成功実績を積み上げています。
企業活動とERPは切り離せないものであり、SAPコンサルタントは引き続き需要のある仕事といえそうです。
続いてSAPコンサルタントの独立、転職事情を確認していきましょう。
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SAPコンサルタントを目指している人や、現在SAPコンサルタントとして活躍して独立を考えている人は、ぜひエイジレスエージェントをご活用ください。
エイジレスエージェントでは多くの大手企業と信頼関係を構築しているため、高い確率で面談や内定を獲得できる体制があります。
また年収アップを実現している人も多く、キャリアアップを目指す人にこそ利用していただきたいサービスです。
[CV地点]
一方エイジレスフリーランスでは、高単価かつ上流商流の案件を幅広く取り揃えており、40代以上のミドルエイジのIT転職実績も豊富です。
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まとめ|SAPコンサルタントの需要と年収は増加傾向でおすすめの職業
本記事では、SAPコンサルタントに必要な要素を詳細に解説してきました。
以下のポイントを少しでも理解してもらえたら幸いです。
- SAPコンサルタントとは、SAPを用いて課題解決をするコンサルタント
- システム開発のどのフェーズでも活躍でき、求人件数も昨年比1.6倍と増加傾向
- 年収も通常のエンジニアと比較すると高く、+αのスキルで1000万超えも可能
- SAPは世界トップシェアのERPシステムであり、大企業での導入事例も数多く存在する
2027年問題が取り沙汰され、SAPは需要そのものが低下していくという憶測記事が多く見受けられますが、あまり鵜呑みにしないほうがよいでしょう。
SAPコンサルタントの募集は増加傾向にあり、さらにSAPは世界シェアでトップに立っていることから、この先も需要がなくならないことは明らかです。
今のうちに実力をつけ、さらに世界で活躍できるように英語も身につければ、仕事に困ることはないでしょう。
SAPコンサルタントとして着実にキャリアを築き、グローバル人材として大きく活躍できることを祈っています。