サマリ
2025年は「ミドル・シニア人材活用元年」といえる年でした。
経産省が警告していた「2025年の崖」が到来し、レガシーシステム対応でシニア人材の知見が貴重な戦力として再評価されました。4月には高年齢者雇用安定法改正により65歳雇用が義務化。さらに、パーソルキャリアの調査(10月発表)では、各企業は採用前に約7割が不安を抱えていたものの、採用後は8〜9割が「問題なかった」と回答しています。
2026年は、年齢に関係なく誰もが活躍できる社会の実現に向けた動きがさらに加速すると予測されます。
2025年の主要トピックス
1. 政府がシニア人材活用に本格的に着手―65歳までの雇用確保措置が完全義務化2025年4月、改正高年齢者雇用安定法により、定年を65歳未満に定めている企業は、希望する従業員全員を65歳まで雇用する措置が完全義務化されました。こうした企業は「定年を65歳まで引き上げ」または「65歳までの継続雇用制度(再雇用制度など)を導入」のいずれかを選択し、希望者全員を対象とすることが求められます。
また、65〜70歳の就業機会確保も努力義務として位置づけられており、更なる高齢者活用の推進が図られています。こうしたことから2025年は “シニア人材活用の制度的基盤” が整った年といえます。
2.「2025年の崖」到来―レガシーシステム問題と人材不足が顕在化
経済産業省が2018年に「2025年の崖」として警告していたレガシーシステムの課題が顕在化した1年でした。年間最大12兆円の経済損失リスクが現実味を帯び、企業のDX推進における構造的課題が浮き彫りになりました。
【主な出来事】
3月:日銀が全銀システム障害を想定し大規模訓練実施、金融インフラの脆弱性が再認識される
4月:ETCシステム障害発生。深夜割引のシステム改修作業中に「削除されるべきデータ」が蓄積され続けたことにより、データが破損
5月:経産省・IPAが「レガシーシステムモダン化委員会総括レポート」を発表(※1)
ブラックボックス化した古いシステムのモダナイゼーションや保守・運用は若手だけでは対応が難しく、かつてシステム構築に携わったシニア人材の知見が貴重な戦力として再評価されています。
一方、人手不足も深刻に。2025年春闘では大手企業平均5.39%の賃上げを実現しましたが、帝国データバンク調査では74.9%の企業が賃上げの理由として「労働力の定着・確保」を挙げており、若手人材だけでは限界があることが浮き彫りになりました(※2)。
3. 企業は「ミドル・シニア人材の活躍」を実感
パーソルキャリアが2025年8月に実施した調査(2025年10月16日発表)(※3)で、ミドル・シニア採用に対する企業の認識が大きく変化したことが明らかになりました。
| 懸念事項 | 採用前に懸念があった企業 | 採用後「課題に感じなかった」企業 |
|---|---|---|
| 業務内容の習得に難がありそう | 48.1% | 89.6% |
| 必要なスキルが不足してそう | 43.0% | 85.8% |
| 新しい技術へのキャッチアップに難がありそう | 24.6% | 82.8% |
採用前には、業務習得・スキル不足・技術対応について懸念する声が見られましたが、採用後に課題を感じなかった割合はいずれも8割超となっています。
また、エイジレスが実施した「ミドル・シニアIT人材の働き方に関する意識調査」(※4)においても、年齢を重ねるごとに「学び」や「成長」を重視する傾向が明らかになっています。働く理由について、30〜50代は「金銭面」に関する回答が最多となる一方、60代は「社会との関わりを持ち続けるため」、70代は「新しい挑戦を続けたい」との回答がトップとなり、シニア世代の技術習得への意欲や学習姿勢の高さがうかがえます。
2026年市場予測
2025年を通じて顕在化した「人手不足」と「レガシーシステム問題」は、2026年も継続する構造的課題です。ミドル・シニア人材の戦略的活用は、”短期的な解決策”から”中長期的な人材戦略の柱”へと変化しつつあります。
1. 「エイジレス」時代の到来
「年齢に関係なく ”エイジレス” に活躍する」という価値観が、社会全体に広がり始めています。
2025年にはForbes Japanに「エイジレス経営」に関する記事が掲載され、人的資本経営において年齢の多様性が不可欠であることが論じられました(※5)。また、内閣府が9月に「エイジレス章」を決定(※6)。さらに、矢野経済研究所が「AIで変わる労働市場と人材ビジネス市場の将来展望 2025-2040」を12月末に発刊予定。ミドル・シニア市場の将来性を分析するなど、多方面で注目が集まっています。
2026年は、”エイジレス” な価値観がますます浸透する年になると予測されます。
2. 「70歳現役」が現実に―働く意欲と受け皿の拡大
定年後も第一線で活躍する事例が増加し、「引退」ではなく「キャリアチェンジ」という発想が広がっています。
厚生労働省の調査によると、70歳までの就業確保措置を実施済みの企業は31.9%と3割を超えました(※7)。また、内閣府「高齢社会白書」では、60歳以上の約9割が70歳くらいまで又はそれ以上働きたいと回答しており、高齢期にも高い就業意欲を持っています(※8)。
2026年は、70歳までフルタイムで働くシニアや、フリーランス・副業・複業として活躍する人材がさらに増加すると見込まれます。
まとめ
2025年は、ミドル・シニア人材活用が「試験的取り組み」からスタンダードへ向かい始めた年でした。2026年は、この流れがさらに加速し、年齢に関係なく誰もが活躍できる社会の実現に向けた動きが本格化すると予測されます。エイジレスについて
エイジレスは、「年齢によるしがらみをなくす」をミッションに掲げ、主にミドル・シニア層に対して人材関連サービスを展開しています。
サービス:
■ フリーランス向け案件マッチング事業『エイジレスフリーランス』
■ 人材紹介事業『エイジレスエージェント』
■ 40〜50代のハイクラスIT人材に特化した求人・転職サイト『エイジレスキャリア』
■ 営業顧問サービス『エイジレスセールスプロ』
■ ベテラン世代の知見とAI技術を組み合わせたレガシーシステムのモダナイゼーションソリューション『エイジレスデジタルソリューションズ』
2025年の主な取り組み:
| 月 | 取り組み |
|---|---|
| 2月 | 営業顧問サービス『エイジレスセールスプロ』提供開始 |
| 7月 | シリーズAラウンドにおいて 第三者割当増資により1倍非参加型優先株式で総額5.6億円の資金調達を実施 |
| 8月 | 本社を五反田に移転、 「新卒年収一律」を打ち破る新制度『エイジレス採用』始動 |
| 10月 | ベテラン世代の知見とAI技術を組み合わせた レガシーシステムのモダナイゼーションソリューション 『エイジレスデジタルソリューションズ』提供開始 |
| 12月 | 既存サービス『インクルー」をリニューアルし、 40〜50代のハイクラスIT人材に特化した求人・転職サイト『エイジレスキャリア』を公開 |
取材等、本件に関するお問い合わせ先
株式会社エイジレス 広報担当
メールアドレス:pr@ageless.co.jp
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